メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

ライターなら泊まれるかも? 台北のディープスポット「トレジャーヒル」宿泊記-1

台湾
ども。檀原(@yanvalou)です。
今回は、時折思い出したように登場する台湾ネタです。

台湾のなかでも首都台北とその周辺は、日本人観光客が特に多いところ。
グルメや九份、淡水などへの観光が人気です。

しかし台北にはかなりディープなスポットも点在しています。
その一つが今回ご紹介するトレジャーヒル寶蔵巌国際芸術村)です。

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【Video】寶藏巖國際藝術村簡介影片/Treasure Hill Artist Village Promotional Video

退役軍人たちが創りあげた違法建築の密集地

その昔。ここは尼寺が一つあるきりの寂れた場所でした。
しかし日本軍が接収し弾薬庫や砲台をつくります。
台湾の独立後、今度は中国大陸から逃れてきた国民党が軍事施設として継続利用します。1970年代に軍が撤収した後は退役軍人やその家族が住み着くようになりました。
ここに来たのは老いた下級兵士たちです。金のない彼らは自分たちで住まいを建て、増築や改造を繰り返します。
元々川沿いの崖に立地していることもあり、道は狭く曲がりくねっています。その上住民たちが思うがままに増築した違法建築がぎっしり立ち並んでいる訳で、治安の面でも景観の面でも決して良いとは言えない場所でした。

現在はかなり綺麗になっていますが、率直に言ってブラジルのスラム(ファベーラ)にそっくりです。ブラジルのスラムも丘に貼りついていますからね。

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台湾が経済成長し、都市の再開発が活発になると、このエリアは取り壊し対象になりました。
奇しくも国民党の軍人と家族が暮らした「眷村(けんそん)」とよばれるエリアが老築化し、台湾全土で取り壊しが行われていた時期でした。
トレジャーヒルも眷村の一つでしたから、重機が入り、容赦なく取り壊しが始まりました。
しかし文化人たちがここを「歴史的に意義のある地区」だと考え、大規模な保存運動が巻き起こります。

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トレジャーヒルの一室で上映されている記録映像『看不見的村落』の説明

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かつて暮らしていた住民たちのポートレート(記録映像『看不見的村落』より)

最終的に解体反対運動が実り、解体は川沿いの平野部だけで収まりました。
その後、このエリアは「アートをつかった町づくり」の実践の場となり、2009年から通年「アーチスト・イン・レジデンス」が行われています。

この試みは成功し、ニューヨーク・タイムズに「必ず行くべき観光地」のひとつとして選ばれるまでになりました。
とは言え、普段は閑散としており、台北に住んでいても来たことがないという人も多いようです。

数ヶ月単位でアーチストが入れ替わりながら滞在制作しているのですが、実際には古くからの住民も暮らしつづけています。
その多くは高齢者で、彼らが亡くなったり、子供たちに引き取られて空き家になると、そこにアーチストが入るという形です。

一般の観光客も散策出来ますが、泊まることは出来ません。

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トレジャーヒルに泊まるには?

し・か・し。
ワタクシ、3泊して参りました!
ここに泊まった日本人はまだ数える程しかいません。貴重な体験をしたと思います。
どのような手順で泊まったか、説明しますね。

前述の通り、トレジャーヒルは「アーチスト・イン・レジデンス(以下「レジデンス」)」の施設です。
アーチストというと美術家をイメージするかも知れませんが、それは日本国内のガラパゴス・ルール。
アジアも含めた海外では、物書きもアーチストです。
つまりライターであっても、著作物があれば「作家」すなわち「アーチスト」として扱ってもらえる可能性が高いです。

ちなみに英語の”writer”は「作家」という意味で、日本語のライター(雑文書き・著述業)とは意味が違います
つまりいくら本を出していても「自己啓発系」とか「ライフハック」がテーマだと、アーチストだとは認められないと思います。
旅行記でもむずかしいかも。
小説ではなくノンフィクションでもアーチスト認定してもらえるはずですが(僕はそうでした)、クリエイティビティの度合い次第でしょう。

さて話を戻します。
トレジャーヒルの公式サイトがあるので、そこから申し込むのが正式な手順です。

http://www.artistvillage.org/rent-list.php?p=2&c=5

部屋によりますが、1週間2,000台湾ドル(≒7,200円)くらいからあります。
「旅 X 仕事」に興味を持っていたり、「暮らすように旅する」のが好きなライターには、絶好の物件ではないでしょうか?

一般的には「OPEN CALL(公募)」と募集が出ているのをみてレジデンス(藝術進駐徵件)に応募します。

僕がとったのは変則的な方法でした。
台北駅から歩いて10分くらいのところにあるレジデンス施設「台北国際芸術村(Taipei Artist Village)」に行き、カフェ(TAV Cafe 芸術村餐坊)にいた担当者に直接空き部屋はないか問い合わせたのです。
というのも、最初は「台北国際芸術村」に泊まろうと思っていたからで、事前にウェブから申請書類を出していたのですが返事がないため、直接現地に行ったのでした。

相手をしてくれた女性は日本語が流暢で、僕の住んでいる横浜からもよくアーチストが来る、と言ってくれました(横浜に住んでいたお陰で、第一印象で得をしました)。
生憎「台北国際芸術村」は満室だったのですが、「ここなら空いていると思う」と言われたのが、トレジャーヒルだったのです。

こうして僕は、めったに泊まることの出来ない台北きってのディープスポットに泊まるチャンスを得たのでした。

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今回はここまでです。
次回に続きます。