Pic by Google DeepMind
ども。檀原(@yanvalou)です。
今月10日、Twitter上で奇妙な騒ぎがありました。
●世の中には自分とよく似た人物が5人いるといいますが……
Web制作会社ベイジ代表のsogitaniさん(@sogitani_baigie)が画像生成AI「Stable Diffusion」で「普通のおじさん」を生成しtweetしたところ、「それ、私ですよね?」と名乗り出た人物がいたのです。
当然のことながら、「Stable Diffusion」で生成された人物は「非実在性おじさん」のはず。
しかし他人の空似といいますか、世の中には自分とよく似た人物が5人いるといいますから、架空の人物が誰かと似てしまうという現象はあり得そうです。
Stable Diffusionは2次元や美少女がテーマのモデルは無数に存在し、それらを生成するのは難しくない。難しいのは「普通のおっさん」の生成。ドラマに出てきそうな浮世離れしたイケおじではなく、そこら辺にいそうな普通のおっさん。そんな難題に挑戦した私の成果物がこちら。おっさん作るのムズイ。 pic.twitter.com/p7F5kCP8yo
— sogitani / baigie inc. (@sogitani_baigie) 2023年5月9日
問題のtweetがこちら。
えええええ!? 1枚目ですが、自分でも自分に見えるんですけど!なんだこれ!?!?!? https://t.co/g3Koh61iRj
— 内藤 時浩 (@NAITOTokihiro) 2023年5月10日
どう見ても本人(笑) pic.twitter.com/2MCwo6LujI
— akindoh(あきんどー) (@akindoh) 2023年5月10日
写真の人物は名作RPG「ハイドライド」を手掛けたゲームデザイナー、内藤時浩さん(@NAITOTokihiro)です。
思わず笑ってしまうほどそっくりですね。
ちなみに高橋克実さんとも似ています……
高橋克実さんを混ぜました? pic.twitter.com/fdd9Tmf6bn
— K (@SPMK35) 2023年5月10日
●AIが生成したエロ画像と自分が似てしまったら、どうなるか?
内藤さんのケースは、ゲームデザイナーという内藤さんの職業もあり、ネタで済まされました。
しかし「AIが生成したエロ画像と自分が似ている」という場合はどうなるのでしょうか?
世の中には山ほど女性がいます。
一方現在KindleストアにはAIで生成したえちえち写真集が山ほどリリースされています。
AIが生成した写真とそっくりな女性が存在していても、まったく不思議はありません。
もしそんな女性が苦情を申し出たり、裁判で訴え出たらどうなるのでしょうか?
▲この女の子たち、生身の人間にしか見えませんが実在しません
当然、モデルはいませんから、肖像権は適用されないでしょう。
あくまで他人の空似なのですから。
もちろん元になったデータは存在しますが、その元データが本人であることは立証不可能です。
ですから無断で画像を使ったことを罪に問うことは出来そうにありません。
仮に無理に起訴に持ち込んだとしても、被告が法廷で作業過程を再現し、「ほら、こうすればモデルがいなくても画像が出来ます。そもそも私は彼女を知りませんでした」と主張すれば、無罪判決が出てしまうでしょう。
画像の公開を差して止めても、一度ネットに上がった画像はコピーが出回ります。
彼女の画像は半永久的にネットの海を漂い続けるでしょう。
静止画ならともかく、動画が生成されるようになるのも時間の問題です。
出演した覚えのないアダルトビデオに、自分そっくりな女優(非実在女性=AI生成)が主演し、大勢の男性の目に触れてしまう。
そんな事件が起きる日が来るのは、火を見るより明らかです。
法律が現実に追いつかなくなってきました。
しかし便利な生成系AIを手放し、後戻りする選択肢は考えられません。
私たちはどうするべきでしょうか?
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!
追記)
6月3日付けの『ダイヤモンド・オンライン』に同じような趣旨の記事が出ているのを見つけました。
『週刊プレイボーイ』がAIグラドルでグラビアページを飾ったことに反応したようです。
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週刊プレイボーイのAIグラドルが実在女優にソックリ!?肖像権や著作権はどうなるのか | 井の中の宴 武藤弘樹 | ダイヤモンド・オンライン