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レストラン INOKASHIRA Table 日向智克さん
2015年5月18日に取材した吉祥寺のカリフォルニア・スタイル・レストラン「INOKASHIRA Table」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。
井の頭通りの裏手のビルの1階に2014年9月にオープンした「INOKASHIRA Table」はカリフォルニア・スタイルのレストランである。すっかり馴染み深くなったイタリアンやフレンチに比べると、カリフォルニア・スタイルの認知度はまだまだだ。
「コストパフォーマンが抜群にいいのが、カリフォルニア料理の強みですね」
店舗経営者の日向さんは説明する。
この「INOKASHIRA Table」は若き経営者が手がける最初のレストランである。敢えて聞き慣れない料理に手を出したのは、前職で知り合ったシェフの坂田さんを見込んでのこと。当時の日向さんは経営企画の仕事をしていたそうだが、そこで知り合ったのがカリフォルニア・レストランで腕を振る坂田さんだった。
「この人につくって貰えば間違いないと思いましたね」と日向さん。
「うちは高級路線よりも、値頃感を大事にしています。極端なことを言えば、スーパーで買える食材であったとしてもシェフの技術次第で高次元なレベルに引き上げられるんですよ。ブランドよりも本質的な部分で勝負したいですね」
青年らしい情熱あふれる語り口には、迷いがなかった。
日向さんにここまで言わせる坂田さんとは、どんな人物なのだろうか。残念ながら取材時に居合わせなかったため伝え聞いたことを書くしかないが、服飾の世界で有名な「文化服装学院」出身という、シェフとしては異色の経歴の持ち主だそうだ。一見地味な外見だが好奇心に溢れ、美的センスも抜群だという。
「うちの皿はよく『盛り付けが綺麗だ』と言われますが、これも坂田らしい特徴ですね」とのこと。
雑貨や服の収集癖があり、いまは80年代の雑誌のコレクションにハマッているという。文化服装出身らしく音楽も大好きで、DJをやっていた時期もあるとか。飲食や職人の世界でよく耳にする典型的な凝り性の男性らしい。得てしてこだわりの強い男性は妥協を許さない本物志向がつよい傾向がある。料理にかぎらず、幅広い分野で一家言ありそうな坂田さんなら間違いのない料理を作ってくれそうである。
吉祥寺に出店したのは、独特な文化がありスタート地点として面白いと思ったからだそうだ。日向さんはスパニッシュとイタリアンのいいとこ取りをして成功した「リゴレット」の名をあげ、「ここで上手くいけば、よそでも通用すると思います」と力強く言った。
取材した時点では開店してまだ半年と少ししか経っておらず、三鷹や西荻、吉祥寺など沿線近郊からの来客が中心とのことだった。しかし将来は遠方から食べに来ていただけるようにするのが目標だ。
メイン・ターゲットは「30代かや40代の、遊びはひと通り経験してちょっと落ち着き始めた人」。
「一見高く見えるかもしれません。でもカリフォルニアスタイルでボリューム満点な皿ばかりですから、シェアすれば居酒屋と変わらない金額で楽しめますよ。ワインやカクテルは癖のない、カジュアルなもので揃えています。誰でも飲めるオーソドックスなものばかりですから、お酒を楽しんでからサラダ、前菜、パスタ、メインディッシュ、という風に順番通りに食べ進んでいただくのがお勧めですね」
とは言え、サラダ、サンドイッチ、カレー、パスタ、スイーツと軽食も用意されているので気軽に立ち寄ることも可能だ。
昼間はカフェ、夜はカフェ&グリルという展開の仕方をしているため、ちょっとまだ店の利用の仕方が伝わっていないかもしれない、という課題を日向さんは打ち明けてくれた。
「同じ時期にオープンした自由が丘にある『ブルーノート』のカフェが、メニュー構成の面で似ているかもしれません。ボリューム満点のナポリタンやマカロニグラタンがあって、メインは肉料理で。喫茶の要素も洋食屋の要素も併せ持っている、でも料理は腕によりをかけている。『大人の食堂』というコンセプトも似ているかもしれません。うちは開店当初、『大人のファミレス』というキャッチフレーズを打ち出していました」
ガラス張りで開放的な間取りと、疲れない程度におしゃれな内装。ペット同伴もOKという敷居の低さも大人の良識に訴えかけるものがある。気取らず、カジュアルに食事を楽しみたいとき、普段づかいの1軒として覚えておきたい店である。
INOKASHIRA Table
オーナー:日向智克(ひむかい ともかつ)
所在地:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-25-10
http://table.aboutus.jp/ *現在リンク切れのようです