メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

マクロビオティックに感化され、あえて「物足りないケーキ」を教える教室の話

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おやつとぱぱっとやさい料理の教室 内藤香代子さん

2015年5月25日に取材した東京・足立区の料理教室「おやつとぱぱっとやさい料理の教室」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。

「私の教室はレシピがシンプルなので、質問が少ないんですよ」と内藤香代子先生は語る。

 自宅キッチンで開催している教室はひじょうに個性的だ。先生は「手間のかからないメニュー」をモットーに、 かんたんな料理のつくり方を教えている。バターは不使用。砂糖や油、卵もできるだけ少なくする。だから「物足りない」と感じる生徒さんもいるという。

 逆に積極的に使っているのは豆乳や豆腐だ。これはマクロビオティックの影響だそうだ。じつは内藤先生、ご夫婦で自家焙煎コーヒー豆屋「はにわ屋」を経営しているのだが、店でもあえて派手な焼き菓子は販売していない。「他の店よりフードメニューは地味なはず」だと語る。

 教室ではケーキ類と野菜をつかったレシピを交互に教えているが、特徴的なのはケーキ。「スイーツ」というより、おやつ感覚なのだ

「サロネーゼ」とよばれる富裕層の奥様が開いている自宅料理教室は、煌びやかなレシピで溢れている。一方内藤先生の教室では、地味かもしれないが、体に優しく毎日食べても負担がかからないメニューを教えている。コレステロールや糖尿病が気になる中高年や成長期の子供には、これがうれしい。

 マクロビを勉強しているという先生だが、頑なな菜食主義者というわけではない。「野菜をもっと食べて欲しい」と考えてベジタリアン風メニューを教えているが、受講生の多くは菜食生活に深い興味を持っているわけではない。そこで「ご自宅では肉を足して作ってください」と伝えているそうだ。

「オーガニックにもこだわってはいないんです。食材は近くのスーパーで買えるものばかり。有機野菜を取り寄せたら負担になりますよね。私がこだわっているのは自宅にあるもので『シンプルにつくれる』ということなんです」

 百聞は一見にしかず。どれだけシンプルに徹した料理なのか、一例を上げてみたい。

 

キャベツのカレースープ(2人分)

材料:キャベツ 2~3枚(食べやすい大きさに切る) 

*なにか野菜をプラスしてもOK

A:水100cc、しょうゆ 大さじ1
B:豆乳200cc、すりごま 小さじ1、カレー粉 小さじ1

作り方:

1)キャベツ+A 沸騰したら弱火。5分位煮る。
2)Bを加え、ひと煮立ちさせる。

*煮過ぎると、豆乳が分離することもあり。味は大丈夫。

 

 これなら億劫がらずにキッチンに向かえるというものだ。

 内藤先生のこだわりはシンプルさだけに向けられている訳ではない。例えば小麦は国産しか使わない。さらに砂糖は一般的な三温糖から、北海道産の「てんさい糖」に切替えているところだ。「てんさい糖」は聞き慣れない調味料だが、熱帯産のサトウキビを原料とした一般の砂糖と異なり、寒冷地で栽培されているサトウダイコンを原料にしている。サトウキビでつくられた砂糖は「体を冷やす」と言われているが、「てんさい糖」は味がまろやかで体を温める作用があるとされる。ただ良質な砂糖を使ったとしても大量に使ってしまっては元も子もない。あくまでも控えめにすることをモットーにしている。

 内藤先生の教室に通ってくる生徒さんは、忙しい合間を縫って参加する方が多いという。

「最初はあいた時間をゆったりしたくて参加される方もいたのですが、いまはちょっと違う感じですね。そうは言っても80代の方もいらっしゃいますし、近所に住んでいる小学3年生の子が一人で参加してくれたり、ということもあります」

 授業は1コマ90分。1回完結だ。1回あたりの定員は概ね4名に設定している。ケーキの場合は、そのまま持ち帰りできる。

「講座の最後に試食の時間があって、コーヒーもお出ししています。そのコーヒー目当てに教室に来られる方もいらっしゃいます」。

 同じ屋根の下でコーヒー豆を焙煎しているので、いつもキッチンはコーヒーの香りに包まれているそうだ。

 店のある竹ノ塚エリアには喫茶店が10軒程度あるという。その中にはチェーン店も含まれているが、こんな個性的なお店、そして教室であれば固定ファンが少なくないに違いない。「はにわ屋」は1997年創業で、もうすぐ18周年を迎えることになる。手作りをベースに、地域に愛される店作りにこだわってきた。忙しく流れる時間の中で「はにわ屋」とのつながりを「心地いい」と感じてもらいたい。内藤さんご夫婦の息の長い活動からは、裏付けとなる確かなものがあるようだった。

ヘルシーおやつとぱぱっとやさい料理の教室
主催者:内藤香代子(ないとう かよこ)先生
所在地:東京都足立区伊興1-2-6
http://www.k3.dion.ne.jp/~u-takata/