メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

「よその飲食店とノリが違う」と感じたら、リクルート出身者でした!

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2015年5月20日に取材した池袋のカフェ「Apt Cafe.83」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。

現在polcaにてご支援をお願いしております。
リターンは11月にちくま文庫より発売予定の文庫本です。
よろしくお願いいたします。

www.yanvalou.yokohama

 池袋駅東口の大通りからすこし奥に入った隠れ家のような地下空間。地上から階段を降り、エントランスへとつづく動線は、少し長めでそっけない。なんとなくアンダーグラウンドな趣が漂う。しかし扉を開けるとそこは開放的な空間で、そのギャップに参ってしまった。

 床材は天然木だが、内装は白っぽくて恐ろしく簡素。カフェとしては余白が多く、なんだかクラブ(ディスコのようなナイトクラブ)のようだ、という印象を受けた。「Apt Cafe.83」は「はちみつ専門カフェ」という顔のほかに、「貸し切りできるカフェ空間」というパーティー用途の貸出営業もしている。なるほど。飾り気のない作りが腑に落ちた。カフェとしては異例の18時閉店なのも、夜間の箱貸しが多いためだ。

「人が集まる場づくり」をめざして経営しています、と同店を運営する遠藤幸一郎さんは語る。

「経営理念が自分にハマっているので、貸し切りも店舗としての営業も、どちらも楽しいです」。

 もともとこの場所はイベント貸出を目的としたカフェラウンジだった。しかし「池袋のひとたちともっと接点を持ちたい」「もっとこの空間でできることがあるはず」という想いからリニューアルを決行。店舗としての運営に切り替えたのだった。

 遠藤さんは「Apt Cafe.83」以外にも池袋エリアに貸し切り専用スペースを2つ、レストランを1つ経営している。レストランはチーズ専門店で、予約が取れないほどの人気ぶりだ。チーズあるいははちみつというニッチな素材で勝負しているのは、専門知識が必要とされるものの、フレンチやイタリアンほどハードルの高さはなく、横並びで競争しなくても済むためだ。「Apt Cafe.83」に関しては、キッチンが大きくないという条件下でできることを探した結果、という側面もある。

 つまり始めるにあたって積極的な理由や必然性があった訳ではなく、勝ちを狙いに行った末に辿りついた素材だったと言えよう。

 営業を始めるにあたって仕入先は厳選を重ねた。はちみつは安くない食材である。当然養蜂場や卸売業者は慎重を期して選び出した。

 現在直取引しているのは九州の養蜂業者で、百花蜜を扱っているという。百花蜜というのは何種類もの花蜜が混じりあった蜜のことで、 季節や地域により味、香り、色にさまざまなバリエーションがあるという。同じ業者から仕入れても採れる時期により3~4種類に分かれるというのが特徴だ。

 この蜜と対になるのが一種類の花の蜜から採られた「単花蜜」である。「Apt Cafe.83」では、スペイン産のレモンのはちみつ、イタリア産の栗のはちみつ、同じくイタリア産のローズマリーのはちみつを扱っているという。「単花蜜」には珍種もある。例えば「コーヒーのはちみつ」がこれに該当するが、残念ながら同店では現在扱っていないという(今後の取り扱いに期待しよう)。

 各テーブルにはかけ放題のはちみつのボトルが備え付けられている。料理や紅茶などに好きなだけつかえるというはちみつ好きにはたまらない趣向だ。とくに人気が高いのは沖縄(宮古島)から取り寄せている百花蜜。この沖縄産のはちみつを、同店の人気メニューである「ハチミツリコッタのふわっふわパンケーキ」にとろり、とやったら心のなかで歓声を上げてしまうに違いない。

 同店で見かけるのは9割方若い女性だ。とはいえ、一概に学生が多いというわけではなく、マスメディアやツイッターが導火線になっている様子だという。

 話を聞く限りでは、お洒落なスペースとして女性やアーチストさんにつかって欲しい、という遠藤さんの狙い通りに事が進んでいるようにみえるが、イベント利用の稼働率にはまだまだ満足していないとのこと。

 なんだかよその飲食店経営者とノリが違うと感じたのだが、それもそのはず、遠藤さんはリクルートの出身で結婚式情報で知られる「ゼクシィ」の担当部署にいたという。同社は多数の起業家を輩出していることで有名だが、その多くがユニークなこともよく知られている。遠藤さんは経営者であるのと同時に実業団の陸上選手として現役で競技活動しているという。学生時代は全日本の大会にも出場していたそうだ。異能の経営者であるといっていいだろう。

 店長の椨健太郎さんはダンス歴13年のストリートダンサーで、日本最大級のコンテスト大会「JAPAN DANCE DELIGHT」で入賞も果たしている

「場づくり」に力を入れている、という遠藤さんだが、中心にいるのがこんな個性的な人たちなら、面白い人たちが引き寄せあうであろうことは想像に難くない。

Apt Cafe.83(株式会社アプト)
代表取締役社長:遠藤幸一郎(えんどう こういちろう)
店長:椨健太郎(たぶ けんたろう)
所在地:東京都豊島区南池袋2-17-1 第三岩田ビル地下1階
http://tsukuruba.com/aptcafe83/