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どうも檀原(@yanvalou)です。
常々「古典文学も読んでおかないとな」と思っているのですが、なかなか実行できていません。
いわゆる名作と言われる文学はまとまった時間をつくって読むのに適しており、隙間時間を縫って読む物ではないからです。
仕事帰りの帰宅後、疲れている頭で読むのもしんどいですしね。
ところが昨年うまい方法を発見しました。
むずかしそうな古典文学も、耳から入れれば敷居は低い
とっつきにくそうな名作も、音声として耳にしてしまえばさほどむずかしくありません。
僕が実践しているのは、YouTubeの朗読動画を聴く、という方法です。
「朗読」で検索すると、たくさんヒットしますよ。
朗読動画は細かく分割されており、かつ聴くだけなので負担になりません。
自宅から駅までの道すがら、電車での移動中などに名作を聴くようになりました。
(といっても暑い最中にむずかしい物を聴く気にはならず、7月下旬からはradikoばかり聴いてしまっていますが……)
文字を目で追うと読み切れなくても、聴くのであれば完読(というのも変だけど)できる、という作品は結構あると思うのです。
個人的には林芙美子の「浮雲」は、朗読だから最終行まで体験できた作品です。
読書で挑戦したならば、序盤で挫折していたでしょう。正直な話、出だしが面白くないので。
そういう作品、あると思うんですよね。
0389林芙美子,「浮雲」,1,連続全文朗読,朗読:maguchiish リリカ・オリジナル編集,青空文庫
イチオシの読み手
ここでおすすめの読み手をご紹介します。
「声を頼りに」のwizさんです。
しっとりした独自の音声空間をつくりあげている女性で、間の取り方が絶妙です。
市販されているオーディオブックの大半はプロの俳優が読み上げていますが、wizさんは俳優たちよりもうまいのではないでしょうか。
それくらいの力量をもった朗読者です。
wizさんの公式サイト:【朗読】声を便りに、声を頼りに――。
実際のところ、wizさんの朗読はAppleのiTunes storeやAudibleなどで販売されており、実力は保証付きです。
音声は多数媒体で露出しており、YouTubeやpodcastでも美声を聴くことが出来ます。
「AI朗読」には注意
YouTubeで朗読を探す際には「AI朗読」には注意してください。
AIがおかしな抑揚で読むのは許せるのですが……「作品を最後まで読み上げてくれない」というもどかしいことをしてくれているのです。
おそらく著作権を考慮した結果なのだと思いますし、このチャンネル自体も広告料目当てで運営しているのだと思いますが、もやもや感が募ります。
「続きは買って読めよ」と言われればそれまでですが、朗読を聴くのと読書するのとは別の体験です。できれば最後まで聴き通したいと思うのは僕だけでしょうか?
文章術、創作術も聴いて勉強してしまう
そんな感じで文学を聞くのが習慣化しているのですが、そこから興味が広がって作家のトークを収録した音源も聴くようになりました。
勉強になるのは小説家の中村文則さんのトークですね。
もっとも勉強になったものを貼っておきます。
「人生に、文学を」オープン講座 in 上智大学 四谷キャンパス 2017年5月20日(土) 第6講 中村文則さん「文学との可能性と面白さ」
中村文則プロフィール
1977年、愛知県東海市生まれ。
著書に「銃」(第34回新潮新人賞)、「遮光」(第26回野間文芸新人賞)、「土の中の子供」(第133回芥川賞)、「掏摸(スリ)」(第4回大江健三郎賞)、「私の消滅」(第26回ドゥマゴ文学賞)。2014年にはノワール小説への貢献に対してアメリカで、David L. Goodis賞を受賞。
中村さんの小説ですが、横浜の綱島にある温泉施設綱島源泉湯けむりの庄のリラックスルームに『教団X』が置かれており、行く度に少しずつ読み進めています。
それが上記の講義を聴くきっかけになりました。
中村さんの作品はシリアスなテーマが多く、重い話が苦手な方には避けられる書き手かもしれません。
しかし突っ込んだ長編を書きたい人には、勉強になる話をしてくれる作家だと思います。
今回の話は以上です。
またのお越しをお待ちしています。