メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

ノンフィクションは文学なのか?

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Photo by chuttersnap on Unsplash

ども。檀原(@yanvalou)です。

ノンフィクションを扱うライターとして、ずっと引っかかっていたことがありました。

 

作家と比べて、ライターの社会的地位はなぜ低いのか?

作家と比べて、ライターの社会的地位は明らかに低いと言えるでしょう。
それはなぜでしょうか。

思うにその理由は

「小説は文学。でもノンフィクションは文学だと考えられていないから」

ではないでしょうか。

「小説や漫画や雑誌に比べてノンフィクションは読まれにくいジャンル」という声もありますが、そのときどきでベストセラーも生まれています。

古くは立花隆さんの『宇宙からの帰還』、沢木耕太郎さんの『深夜特急』、家田荘子さんの『極道の妻たち』。
比較的最近だと『ビリギャル』、『下流社会』、『バカの壁』あたりでしょうか。
(最近の本は小粒なのばかりですね……)

単純に本の売り上げということであれば、作家と肩を並べるライターは大勢います。
更に言ってしまえば、平均的な純文学作家よりライターの方が、売れる本を書いていると言えるでしょう。

もちろんラノベ作家やミステリー作家のように、ベストセラーを連発したり、作品がじゃんじゃん映像化されている作家もいます。
彼らは「文学」を書いているとは見做されませんが、しかし有名人として尊敬や憧れの眼差しを注がれています。

しかるにライターの場合、そういうケースは少ないのではないでしょうか。

個人的に、その答えは「ノンフィクションは文学だと考えられていないから」だと思うのです。

 

ジャーナリストがノーベル文学賞を取った日

最近スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が漫画になり、たいへんなヒットを飛ばしています。

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原作の邦訳版は2008年に出版されました。
12年も前です。

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同書は第二次大戦に従軍した500人以上の従軍女性へのインタビューを構成したもので、たいへん骨太なノンフィクションと言えます。

漫画になったのは、おそらく著者のアレクシエーヴィチが2015年10月にノーベル文学賞を受賞したことが関係しているのだと思います。

そうです。
彼女はジャーナリスト。小説家ではないのです。
アレクシエーヴィチは、【ジャーナリストでありながらノーベル文学賞を受賞した唯一の人物】なのです。

ddnavi.com

ジャーナリストの書いたルポルタージュノーベル文学賞を取った
つまりルポルタージュ(ノンフィクション)は、間違いなく文学なのです。

この事実は、多くのライターに福音をもたらすと思います。
もっと知られても良いのではないでしょうか?


今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!