(C)ENBU
「カメ止め」こと映画「カメラを止めるな!」の人気、いっこうに衰えを見せる気配がありませんね。映画専門学校のワークショップ作品が、異例の興業収入10億円突破ですよ。
news.biglobe.ne.jpじつはこの映画で撮影を担当している曽根剛さんは映画監督。ふだんはカメラを担当することが多いのですが(有名どころだと「少女椿」の撮影とか)、ときおり自分の企画で映画を撮っています。
現在はイギリスで撮影した韓国映画が各国の映画祭で上映されているため、ツアーに出ているそうです。
タイトルは「ゴーストマスク~傷~」(日本では来年公開予定)。
ほぼ全編韓国語、という「韓国映画」ではありますが、監督・撮影・編集は曽根さんが務めています。
「旅するように映画を撮る」暮らしのノウハウと裏側を書いた本
2年くらい前の話になりますが、僕は彼の本で「執筆協力」をしています。
「執筆協力」というのは、いわゆる代筆屋さん。「構成」「協力」「編集協力」などと呼ばれることもあります。書籍の奥付をよーくみると、申し訳程度にクレジットされています。いわゆる著者さんから資料を頂いたり、話を聞いたりして著者さんの代わりにまるまる一冊原稿を書き上げる仕事です。
この本で曽根さんはネット上でよく見かける「旅をしながら仕事をする方法」を開陳しています。つまり自分の職業に紐付けて、「映画を撮りながら旅して回るノウハウ」を明かしているのです。
この本が異色なのは、「映画の配給会社や制作会社がバタバタと連続倒産していた時期に踏み倒された200万円以上のギャラを、いかにして回収したか」という体験談も語っていること。
フリーランスで仕事している人で、一度でも踏み倒された経験があれば、気になる話ですよね。
残念ながらまだ発売されていませんが
残念ながらこの本は、映画の仕事に忙殺されている曽根さんの都合でなんとなくスタックしているらしく、まだ出ていません(ギャラはきちんと頂いています)。
では、なぜいまそんな話をしているかといいますと、最近Amazonのプライムの会員になったんですね。「元を取らねば」とプライムビデオで無料の台湾映画を検索していたところ、たまたま曽根さんが台湾を旅しているときに撮った作品を発見したからなんです。この作品です。
*このエントリー執筆時点では無料ですが、突然有料に変更になる可能性があります。
つぎは曽根さんがパリで一人旅していたとき、気が向いて作ったというショートフィルム。
プライベートで初めてパリを旅したものの、「とつぜん映画を撮りたくなった」という曽根さん。
フランス語が一言も話せず、知り合いもいないのに、いきなりショートフィルムの制作を開始します。
日本にメールして、フランス人の知り合いがいそうな知り合いの伝手を仰ぐなどして現地でキャストを確保。脚本を書いている時間はないので用意はせず、いくつかのモチーフだけを頼りにほぼ即興で撮り上げたという小作品。
予算も準備もないないづくしなので、キャストは一人だけ。
Doppelganger in Paris / 短編映画「ドッペルゲンガー in パリ」
この作品で味を占めた曽根さんは、オール海外ロケで低予算映画を作ることを考えます。その過程を追ったのが、僕が担当した本です。
この狙いに沿った最初の映画はオール・ロサンゼルス・ロケのホラー映画でした。
この作品は劇場ロードショー公開はされず、イベントや各国の映画祭などで上映されただけですが、DVD化されTSUTAYAにも置かれています。
しかし生粋の旅好きである曽根さんらしいのは、やはり商業映画ではなく、旅を続けながら即興的に撮った作品だと思うのです。現在までにアメリカ、台湾、韓国、香港、スペイン、フランス、ドイツ、ロシアなどでの撮影経験があるとのこと。
こちらの作品もヨーロッパ・ロケ。やはり現地でキャストを探しながら即興的に撮った作品です(下の動画は予告編です)。
"Paris, New Year's Eve To Be With Her" Trailer
「敢えて脚本を書かず、流れに任せて撮る」というのが、旅人らしいですね。
もちろん普段の曽根さんはきちんと脚本に沿って撮っていますし、事務所を通じて役者のキャスティングをしています。
旅先での撮影のときも必要な段取り(機材・スタッフ・ケータリングの手配、香盤表の作成など)は状況に応じて行っています。
即興というのは、あくまでもロードムービーにおける撮影の方法論の話です。
そんな曽根さんですが、究極の目標は「世界一周しながら映画を制作」することだそうです。
曽根さんの旅と仕事の話は、MASAKIさんという人が書いた『旅が仕事!』という旅人たちのオムニバス本のなかでも紹介されています(僕が関わった本ではありませんが)。
ついでに僕の関わった本も出ると良いのですが(笑
■追記:
曽根さんはメディアでの露出がまだ殆どない人なのですが、上記の本の著者MASAKIさんのYouTubeチャンネルにゲスト出演したときの様子が配信されていました。
二人とも若いんですよ。
しかも一見するとチャラそうなのに、やってることがすごい。
びっくりすると思います。
27回曽根剛香港旅行重慶マンション滞在記MASAKI世界一周
本日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!