ども。檀原(@yanvalou)です。
オリンピックに関して熱中症の危険が議論されていますね。
「ろくでもないなー」と思っていたのですが、またしても舞台裏でゴタゴタがはじまっています。
ジャーナリストの志葉玲さんのこの記事を見てください。
オリンピックの警備に便乗して、イスラエルが官民挙げて【軍事見本市】を開催するそうです。
場所は東京のお隣、川崎市。
しかも会場はB.LEAGUE所属のプロバスケ・チームが試合をする「とどろきアリーナ」。川崎市の公共施設です。
日時は8月28、29日といいますから、半月後です。
関連情報をさがしてググったところ、川崎市の担当者への署名と要望書(ISDEFへの会場提供の撤回要求)の手渡しとそれに伴う記者会見がある、とのこと。
この情報をキャッチしたのが昨日の夜。
署名などの手渡しと記者会見が今日。
とのことで急遽、取材してきました。
複数の市民団体混成で反対派が市役所に集合。その数およそ40人。
市民運動やデモなどの取材は初めてです。
記者クラブにまじって取材するのも初体験でした。
(市役所に会見室があるということを、今日知りました)
じつは2015年の5月13~15日にもパシフィコ横浜で英国の企業主催、日本の防衛省と経産省後援で軍事見本市が開かれていたそうです。ですから国内での軍事見本市は2度目ということになります。
ただし今回は「東京オリンピックを見据えての売り込み」ということで、重い意味合いがあるのではないでしょうか。
今年3月30日のパレスチナの占領地区でのイスラエル軍によるデモ弾圧以降、欧州ではBDS(Boycott, Divestment, and Sanctions)という対イスラエル・ボイコット運動が盛んだそうです(正確に言うとBDSは2005年から行われていますが、デモ隊への相次ぐ発砲以降、盛り上りをみせています)。
日本ではこの運動は知られておらず、無印良品がイスラエルへの出店を見合わせたのと、ホンダがイスラエルでのレース開催を見合わせた程度。人権意識の薄い日本で商機を見いだしたイスラエルが、今回の見本市を仕掛けた、という背景があるようです。
*BDSには賛否両論あり、激論が交わされています。反対派の意見は「反ユダヤ主義と結びついているのではないか?」というものです。
確かにそういう側面もありそうで、反対する有名文化人も大勢います。
またアメリカ国内の21の州が反BDS法令を可決しているそうです(2017年6月時点)
参考)ボイコット、投資撤収、制裁 - Wikipedia
4631人分の反対署名を手に発言する杉原浩司さん(NAJAT代表)
立教大学・青山大学などの講師で、パレスチナ人権問題の専門家の高橋宗瑠さん
川崎市役所内での記者会の様子
安倍政権が武器輸出三原則を撤廃して以降、日本の企業が海外の武器見本市にブース出展した例がいくつかあるそうです。
前述の横浜での見本市でも日本企業約20社が出展しています。
また日本企業が海外の企業と共同で、武器を開発するプロジェクトも進んでいるのだとか。
今回のISDEFではバイヤーとして日本企業が多数参加するでしょう(ALSOKやセコムは確実に来場するでしょう)。
海外では武器見本市での反対デモは珍しくないようです。
たとえば昨年の9月にイギリスで開催された"DSEI arms fair"では「拷問の道具が出品されている」ということで、反対デモが行われ100人以上が逮捕されました。
What is the DSEI arms fair taking place in London this week and why is it so controversial?
今回の件も「武器の見本市そのものへの違和感」が根底にある訳ですが、同時に欧州各国がイスラエルへ抗議をしているその最中に、日本の地方自治体が会場を提供することへの承服しかねる気持ちが、知識人たちを動かしているようです。
日本ではオリンピックの警備に関する議論がほとんど行われていません。
この件がそのきっかけになれば、と思います。
この件ですが、現在、某媒体に売り込み中です。
ISDEF当日、反対集会が会場で開かれますが、その様子も取材して1本の記事にするのか、あるいは開催前に書き上げてしまった方がいいのか。
そのあたりも含めて、現段階ではまだはっきりしていません。
ちなみにISDEFは「関係者とプロフェッショナルのみ入場可」となっているのですが、既に入場申請を済ませ受理されました。
最後に伊東乾さんの寄稿をあげて問題提起とします。
世の中が複雑になりすぎて、スポーツの祭典ひとつ開催するのも簡単にはいかなくなっています。
どこにぶつけたらいいのか分からない憤りを感じますね。
【追記】
8月16日現在、ISDEFへの出展企業名は明かされていません。
川崎市地域振興課の担当者によると、「主催者側はクローズドのイベントなので開示しないと言っている」「出展内容で判断する。企業がどこかで判断することはない」とのこと。
現在分かっているのは、以下の概要と各社の出展内容のみ。
≪出展国≫ 6カ国
・イスラエル
・エストニア
・イギリス
・カナダ
・イタリア
・日本
≪出展社数≫ 46社(想定)