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ども。檀原(@yanvalou)です。
コロナで「オンライン」が一挙に浸透しましたね。
オンライン面接、オンラインライブ配信、オンライン飲み、
そしてもちろんリモートワークも。
そんなオンライン・アクティビティのひとつに「オンラインツアー」があります。
すっかり遠のいてしまった海外旅行。それをモニター越しに擬似体験しようという訳です。
いくつか参加したので感想を書いてみようと思います。
僕が参加したのは以下の六つです。
それぞれについて雑感を書いていきましょう。
- ハワイ「タンタラスの丘サンセット観賞&ワイキキドライビング!」
- 南米アマゾンからライブ中継!マナウスの市場ウォーキングツアー
- イスラエルのオンラインツアー「洗礼者ヨハネの知られざる時代」
- 【リモート旅】小谷実由とHereNowと会いに行く、ローカルでディープな台湾・高雄の街と人々
- バーチャル世界一周旅行✈
- 最後に
ハワイ「タンタラスの丘サンセット観賞&ワイキキドライビング!」
VELTRA という日本の旅行会社が主催しているツアーです。
体験時間は40分くらいだったでしょうか。
お値段は10ドルとお値打ち価格。
僕自身はハワイに行ったことがなく、あまり興味もなかったのですが、画面越しに見るハワイはゴージャスでしたね。
芸能人がこぞっていく理由が分かりました。
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それまでは歌謡曲「憧れのハワイ航路」のイメージもあり、半ば時代遅れのバカンス地という印象を持っていました(ハワイ好きの皆様、ご免なさい)。
しかし抜けるような高い青空、白亜のカラカウア通り、ヤシの並木などを見ていくと先入観が覆ります。
日本のツアーらしいと思ったのは「ここは●●さんの別荘の近くです」「ここは▲▲さんが語学留学した学校です」などというアナウンスがあったことでしょうか。
とは言えコロナの影響で現地の人通りはまばら。
ブランドの密集するアーケードは半分以上閉まっており、ベニヤで扉を塞ぐばかりか洋画で見かけるような立ち入り禁止の黄色いテープを何重にもめぐらせていました。
きっと食料品や日常品を売る店以外は、大半が閉まっているのでしょう。
これは現地に行くか、オンラインでツアーに参加しないと分からない情報ですから、これだけでも体験する価値があったと思います。
実際「歩いているのはみんなアメリカ本土からの観光客だ」という説明がありました。
もちろん日本人観光客の姿はどこにもありません。
では地元民はどこにいるのかというと、ビーチでたむろしていました。
レストランこそ閑散としていましたが、ワイキキビーチにはサーファーたちが波待ちしていて、波打ち際にはそぞろ歩く人影もありました。
タンタラスの丘も、「駐車場の埋まり具合はいつもの半分以下」とはいうものの、それでもたくさんの車が駐まっており、沈みゆく太陽を眺める人々の顔はパンデミック前と変わらないように思えました。
また小さなことですが、気付いたことを一つ。
当然といえば当然ですが、オンラインツアーだと参加者間の経済格差が気になりません。
「お金持ちのおば様」に引け目を感じずにハワイを楽しめるのは、オンラインならではのメリットです。
南米アマゾンからライブ中継!マナウスの市場ウォーキングツアー
同じく VELTRA のツアーです。先に参加したのはこちらの方でした。
このツアーを知ったきっかけは、滝川クリステルの J-WAVE 番組「サウーヂ・サウダーヂ」での紹介。半ば諦めていますが、ブラジルは憧れの地の一つなのでこれを機に疑似体験しようと思ったのが参加理由です。
このプログラムは日本時間で毎週水曜日21:00〜から行われています。
お値段は2,162円とハワイツアーに比べるとお高いです。
「市場には見たことがない巨大な魚や果物、インディオの薬草などが並び、見ごたえ十分。陽気な現地ブラジル人たちとのコミュニケーションもお楽しみください!」という売り文句でしたが、結果論からいうとがっかりでした。
ガイドは現地在住の日系ブラジル二世で日本語もポルトガル語も流暢です。
(とは言え、たまにコミュニケーションギャップが生じることはありました。アマゾン川の渡し船のことをその外見が似ていることからポル語で「トリカゴ」というらしいのですが、日本人には通じず。言葉が出来ても、それだけでは上手くいかないのが通訳やガイド業の難しいところです)
ガイドは市場ツアーを何度も行っているらしく、お店の人もガイドのことをよく知っている様子。
ここまでは問題ありません。
しかし狭苦しい市場の中は携帯電話の電波がうまく拾えないらしく、画像・音声ともぶつ切り状態。
完全にブラックアウトしてしまい、やむを得ず主催会社の事務所に映像を切り替える場面が何度もありました。
この「魚の舌をそのまま利用したやすり」はインパクトがありました
ツアー客の中にはアマゾンやブラジルに行ったことがある人が何人もいるらしく、チャット画面の発言は濃い目。
それだけに電波状態が悔やまれます。
市場内の匂いや熱気を感じられないのも残念ですが、お茶の間から参加という気軽さとバーターですから、そこは目を瞑っても良いと思います。
イスラエルのオンラインツアー「洗礼者ヨハネの知られざる時代」
イスラエルの現地旅行会社「Amazing Jerusalem」が主催するツアーです。
参加費は無料で好きな金額をPayPal経由で寄付するというシステムになっています。
なお参加して分かったのですが、日本のPayPalには寄付機能がありません。先方に申告してお好きな額をPayPal経由で請求してもらって下さい。
Online virtual tours in the Holy Land, what to expect?
コースはいくつもあるのですが、「洗礼者ヨハネの知られざる時代(The Hidden Years of John of The Baptist)」を選びました。
『ヱヴァンゲリヲン』などで知られるようになった『死海文章(死海写本)』のクムラン教団に関するツアーです。イエス・キリストやイエスに洗礼を施した洗礼者ヨハネは、このクムラン教団にいたと言われます。
www.amazingjerusalem.com
朝の4時起きして参加しました(現地時間では夕刻)。
ところが!
ウェブカメラで現地を案内してくれるものと思っていたら、オンラインレクチャーでした……。
前掲の動画を観たら、誰だって現地を案内してくれるものだと思うでしょう?
ずるい……。
どうやら「Live Tour」と書いてあるものだけが、いわゆるオンラインツアーのようです。
参加前に心配していたのは英語。
予想以上に難しく25%くらいしか聞き取れませんでした。
かなりショックでした。
幸い写真てんこ盛りのパワポと、多少予習してから参加したこともあって概要は分かりました。とは言え、聞き逃した情報も多そう。
聞き取れた範囲でいうと、クムラン教団の生活、とくに Purification(日本語だと沐浴?ちょっと違う気も)に対する偏愛が面白かったです。クムラン教団があったのは、死海のほとりにある岩石砂漠。砂漠で沐浴できるだけの水量を集めるというのは、キチガイじみていますよね。
死海文章を発見したベドウィンのムハマド・アディン(日本ではムハンマド・エッ・ディーブ(Muhammed edh-Dhib)と紹介されているようですが、「アディン」と聞こえました)は自分が発見したものの価値が分かっておらず、写本が革製だったため、写本を革サンダルにしようと考え職人に預けたそうです。この職人が写本に興味を持ち学者に相談するなどして色々調べた結果、考古学的価値があるものだと分かった、という発見に関する逸話が興味深かったです。
脱線話でヤギ(羊飼いの話だったはずだが、なぜかヤギと言ってた)が逃げたら追っ手はいけない。ますます逃げてしまうから。ヤギの前方に石を投げるとそこで立ち止まる。だから石を投げろ、というイスラエル流羊飼いスキルも、日本人には興味深く。
— 檀原照和@ライター (@yanvalou) 2020年8月1日
これはツアー参加後に確認して分かったのですが、ムハマドは飼っているヤギを足止めさせるために石を投げたのですが、たまたまその石が洞窟内の死海文章を収めた壺に当たったのだそうです。それが世紀の発見につながったのでした。
死海写本はフォントこそ古めかしいものの、現在と同じヘブライ文字で書かれているため、イスラエル人なら読めるという。文字が非常にきれいで、罫線もないのに曲がっておらず、高度な教育を受けた人物が書いたにちがいない、とのことだった。
— 檀原照和@ライター (@yanvalou) 2020年8月1日
「キリストが洗礼を受けた場所」ということで、ヨルダン川には世界中のキリスト教徒が洗礼を受けに集まります。その写真も面白かったです。
ヨルダン川には世界中のキリスト教徒が洗礼を受けにやって来る、ということで出された写真の数々がエキゾチックだった。アルメニア正教の洗礼式の写真なんて普通目にする機会がない。
— 檀原照和@ライター (@yanvalou) 2020年8月1日
しかし英語のガイド付きツアーは、旅行というより英会話の教材みたいでした。
博物館の説明書きレベルの内容を口頭で伝えられるため、大学の講義を英語で受けられるくらいの語学力が求められます。
ロンドンの「切り裂きジャックツアー」にも興味あったが、たぶんついていけない。
— 檀原照和@ライター (@yanvalou) 2020年8月1日
ぜったいガイドと犯人について議論するのが面白いはずだが、時間かけて予習すればなんとかなるかな……?
オンラインツアーが、完全に英語学習の教材と化している(爆
【リモート旅】小谷実由とHereNowと会いに行く、ローカルでディープな台湾・高雄の街と人々
【リモート旅】小谷実由とHereNowと会いに行く、ローカルでディープな台湾・高雄の街と人々
オンラインツアーではなく「リモート旅」と銘打っています。
録画配信ですが、Google ストリートビューを使っているところに、オンラインツアーの黎明期を感じます(配信日は6月19日ですが、現在も視聴可能)。無料です。
このツアーを知ったのはJ-WAVEの『COLORS OF WONDER』にプランナーでツアー進行役の郭晴芳(ハル)さんがゲスト出演したことでした。
郭さんは日本語ばっちりな台湾人。
彼女が地元である髙雄のイケてるスポットを紹介していきます。
ただ紹介するだけであれば、雑誌と一緒です。
しかしこのプログラムでは、現地の方とネット越しにやりとりしたり、ウェブカメラで店内をぐるっと見せてもらうなど、臨場感を味わえるような工夫がみられます。
ここで紹介されているのは
の5箇所です。
髙雄のディープな魅力が垣間見れてお薦めです。
しかし1時間半のこの動画をつづけて観るのは、ちょっとつらいというのが正直な感想。
やはり単調になってしまうんですね。
2、3回ブレイクを取ってくれるとよいと思いますが、そこまでいくと完全にテレビ製作会社の仕事になってしまうでしょう。
バーチャル世界一周旅行✈
8月7日に配信されたツアーです。参加費無料。
400名のリモートワーカーを抱えるという株式会社ニットが、その利点を活かして製作したスピンオフ的な企画です。
同社には33ヶ国に分散してメンバーが働いているそうで、そのなかから6ヶ国を繋いで現地から身近な場所が案内されました。
今回登場したのは以下の6ヶ国(+日本2都市)
1ヶ国あたりの持ち時間が7分程度しかないため食い足りない部分もありますが、それでも参加(視聴)する価値は充分ありました。
例えば道行く人々が誰もマスクを付けていないクロアチアの光景は、日本の現状から考えるとショッキングです。
しかしクロアチアでは国民全体の「マスク歴」が3ヶ月程度しかなく、だれもが着用を嫌がるため、店内や公共施設に入るときだけつけるのだそうです。
こうした情報は、現地に足を踏み入れない限り分からないものでした。
まったく便利になったものです。
とは言え、ここでも電話状況はネックでした。
エルサレムの門(ヘロデ門だったかな?)をくぐってアラブ人街に入ったのですが、周囲が石壁で狭いせいか、電波が途切れまくっていました。5Gが普及するまで、市場や旧市街地のオンラインツアーは時期尚早なのかも知れません。
最後に
最後にご紹介した株式会社ニットの「バーチャル世界一周」 ですが、第2弾が8月22日に実施されます。
参加したら楽しいと思いますよ。
それから個人的に気になっているのは、オンライン宿泊です。
各地のゲストハウスが地場の面白いものを紹介してくれます。
一度似たような企画に参加したことがありました(実施日=5月9日)。
コワーキングスペース「ふらっと木曽」コーディネーターの坂下佳奈らを中心にした「スナック きそ」という「オンライン飲み」ならぬ「オンラインスナック」の試みです。
予め宅配便で明治12年創業の「小池糀店」さんのお味噌を使った「ピリ辛糀」と「木曽のお蕎麦」、それから木曽の木工所で集めたかんなくず(木の削りかす)を贈ってもらえて、それをツマミながら飲むという企画でした。
実際は「食べながら人の話を聞くのは失礼」という感覚が先に立つのか、既に食べてしまっていた人が多く、かつ既にリアルにつながっている参加者が多かったようで、若干アウェイ感を感じましたけど……。
しかし木曽のかんなくずは3ヶ月経っても匂いを失っておらず、鼻腔を近づけると快感中枢を刺激してくれます。参加して良かったと思います。
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!