ども。檀原(@yanvalou)です。
新型コロナウイルスの影響で遠方への旅行へ出かけづらい世の中となりました。そこで足元を見直す流れが出てきています。
東京圏在住だったら、関東近県の良さを見直すということですね。
今一度関東平野を眺めてみましょう。
意外な穴場や見過ごされてきたあれやこれやが見つかると思います。
今日ご紹介するのは2011年に『レポ』という季刊誌に書いた記事のお蔵出しです。
ここで書いた風景は数年前を最後に見られなくなってしまったようですが、それでも何とも言えない味わいがあると思います。
牛の誤解を解いておくよ〜利根川に群れる牛を見にゆく〜(1)
それは川下りから始まった。
近年、都内の水路をゆくクルーズが人気だが、私の知人のなかにもその手のツアーを主催している人たちがいる。
あるとき、彼らの企画の一環として「利根川下り」クルーズの募集があった。そのときのアイキャッチがなんともおかしいのである。
主催者のサイトから拝借 (C)椎葉聡子
<今回のハイライトは、写真の「牛」。牛????
そうなんです。利根川沿いの牧場で牛を飼っている人が河川敷で牛を放牧しているらしいのです!もし天気がよくて、気温が高くて、牛の機嫌が良ければ、見えるかもしれません。ホエールウォッチングみたいなものでしょうか?(見たことありませんが)>
宣伝コピーの上には、水浴びを楽しむ牛の群れの写真。なんとも間の抜けた誘いである。B級クルーズここに極まれり。首都圏版・珍日本紀行の趣だ。東京足下に埋もれた、このとほほな未知との遭遇にほだされて、ついつい参加申し込みしてしまった。
で、当日。どこまでも拡がる蒼天と緑に萌える土手を眺めながら、ずんずん小型船でくだっていくと「いる、いる、いるよ!」。
取手から船で一時間近く下った川岸に、腰まで水に使ったホルスタインの一群がいたのである。牧場でもなんでもない、ごくごく普通の河原に唐突に現れた牛の群れ。あまりの脈絡のなさに唖然とする。笑いがこみ上げてくる。
船頭さんの話によると「牛は頭がよくてね。人が連れて行かなくても、時間になるとリーダーの牛が川原に群れをつれてきて、夕方になるとまた小屋につれて帰っていくんだよ」とのこと。
もっと近くで見たい。群れまではかなり距離があり、米粒のように小さい。しかし利根川は浅瀬が点在しているため航路がシビアだそうで、容易に近づけない(実際、操縦はソナーをにらみ微妙にコース変更しながら行っていた)。でも野生然としたホルスタイン、じっくり見たいなぁ。群れが家に帰るところも見たい。ほんとに人の手を借りずに帰るんだろうか。
これは確かめるしかない。日を変えて、ふたたび牛の群れを見に行くことにした。利根川下りは常時行われているわけではないし、喫水やエンジン音の関係で牛に近寄ることも難しい。自力でトライするしかない。幸い空気を入れて膨らますインフレータブル・カヤックを所有しているので、こいつで以って水面から接近しよう。かくして今回の企画がキックオフしたのである。