メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

クラウドソーシングで売れるライターのポートフォリオは、なぜスカスカなのか?

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ども。檀原(@yanvalou)です。
仕事の足しにしようと考え、数年前にクラウドソーシングに登録しました。

一応それなりの実績があるので、タスク仕事やコタツ記事はスルーして取材記事・インタビュー記事などを中心に活用中です。
悩みはまったくリピート依頼がなく、直接依頼も来ないことです。

 

実績があっても、なぜか受注がリピートされないランサーズ

クラウドソーシングが上陸したばかりの頃、ほかの人たちがどうやっているかググったところ

「元新聞記者で寿退社したが、育児の合間を縫って働きたいと考え登録した。しかしまったく仕事が取れないので、屈辱だと感じつつも、無署名で1文字0.数円のつまらない記事を量産して実績を積み上げた」

などという体験談をみかけました。

これがすべてを言い表している気がします。

僕が使っているのは主にランサーズですが、まったくリピーターがつきません。
クラウドワークスも試しに登録しましたが、そもそも仕事が取れませんでした(ただし発注者として利用したことはあります)。

ランサーズでなにより不満なのは、過去にランサー・オブ・ザ・イヤーに輝いたあるライターさんが、むかし自分が働いていた新興の小出版社の仕事を受注して本を出していることです。

この出版社のことは過去にこのブログで書いています。

 

www.yanvalou.yokohama

www.yanvalou.yokohama

 

その本はオンデマンド本で通常の半分程度のボリュームしかなく、Amazon以外の場所ではほぼ買えません。
注文が入る度にする印刷するシステムですから、部数も「察してしるべし」。
つまり一般的な商業出版の基準を満たしていない本です。
(自分のいた会社の本なので、その辺りのことはよく知っています)

実際にそのライターさんが書いた本自体も読んでいます。
『アメ車の95%はメーターを巻き戻されているのか?』という本です。
クオリティーに関しては「まぁこんなもんか」で、そもそもテーマがテーマですのでウェブでも読めそうな水準でした。
もちろん一口にウェブと言ってもピンキリです。

アメリカから輸入されている中古並行車の95%以上がメーター巻き戻しをされている履歴改ざん車だと言われている。 友人の中古車ディーラーから話しを聞いた著者は、国内における中古並行輸入車の販売実態を探るべく精力的な取材を開始した。

じつはこのランサーさんと直接話したこともあるのですが、そんな本でも「本を1冊書いた」ということでクライアントの印象が良いらしく、それで仕事を取れるようになった、ということでした。

僕は単著を3冊出していて、その内1冊は誰でも知っている中堅の版元から発売しています。
にも関わらず、そのランサーさんが言うようにはなりません。
なかなか仕事が取れず、ましてや直接依頼やリピートなどもありません。

つい先日もある案件に提案して選ばれなかったのですが、明らかに自分よりレベルの劣るライターが選ばれていて、本当にがっかりしました。

ポートフォリオはバッチリ作っていますし、仕事もきちんとした品質で提出しています。
プロフィールは写真こそ出していませんが(イラストです)、本名を出しています。
落ち度として考えられることはなんでしょうか?

 

なにか大人の事情がある?

あらためて検証して気がついたのは、「なぜかランサーズでは、売れっ子さんほどポートフォリオがスカスカだ」ということです。
これは特定の誰かの話ではなく、売れっ子さんに共通する傾向として、みなさんポートフォリオがスカスカなのです。

いえ、正確に言うと大分前から気付いてはいて、気になっていたのです。

「直接依頼が多いから」
「リピーターが多いから」
「だから充実したポートフォリオを作る必要がない」

という話なのでしょうけれど、では最初のうちはどうしていたのでしょうか?

この件はとある売れてるウェブライターさんに直接訊いたことがあるのですが、スルーされてしまいました。なにか大人の事情があるのでしょうか?

改めてランサーズのなかの「クラウドソーシング相談室」で、やはり売れっ子の大塚幸一さんに訊いてみたところ、以下のような回答が寄せられました。

ポートフォリオに関してはこれは自分の環境、考え方ですが
・秘密保持契約があるため基本的に公開できるものがない。
・イラストや制作物デザイン系以外だとそもそも自分は見ないので載せていない(発注側に立った時)

これが自分の考え方です。

最初のうちに…というのは特に実績を見せないといけないということで
実績100〜200ぐらいまで頑張ろうと自分はめちゃくちゃ安い仕事でも受けてましたよ(笑)
今でこそ何もしないでも仕事は入ってきていますが、認知されるのはそれしかないというのがあったんで。

例えばこれは発注者側に回るとよくわかるのですが、みんなコピペでの提案が多く、冒頭に立った一文、相手のことを添えて提案すればそれで受注率とか変わりますし、そういった細かい部分、プロフィールの書き方など何処までやっているか。何を参考にしてやっているかなど工夫は必要になってきます。

(中略)

普通の依頼だとか10人提案がきても9人コピペですから〜どんな実績がある人よりも
コピペしてこなかった1人に発注しました(-_-;)

 

つまり言い換えれば「無署名の仕事が多いから、表に出せない」ということなのでしょう。

僕は未経験のウェブライターでも、経験を積めば署名記事を書くライターにステップアップしていくのだと思っていたのですが、そういうものではないようですね。
ときには記名記事を書くチャンスも廻ってくるのかも知れませんが、基本的には無記名記事を量産しつづけるだけのようです。

そしてクライアントの方も、わざわざポートフォリオを見るのは少数派なのだと思います。

これはほかの方に言われたことですが、ランサーズは「成果物はそこそこのクオリティでいいから、安く仕上げたい」というクライアントが発注する場だそうです。

確かに自分の経験からも、アフィリエイターが記事の作成を外注したり、編集経験ゼロの人が「編集長です」と言って個人でメディアを運営・発注してたりというケースが多いので、その意味は分かります。

 

ライターを単なるコマとしか考えない編集部

ただ自分は法人のクライアント案件メインで提案しているので、納得いかない気持ちもあります。
法人もオウンドメディアだと考え方が違うのでしょうか。

先方が報酬を指定している案件も結構あり、そういうケースでは提案金額も横並びのはず。
あるいは「何が何でも仕事をとりたいので、クライアントの提示額よりも安い金額で交渉してくるランサーが多い」ということなのでしょうか。

ここまで書いて思いだしたのが、僕が住む横浜エリアの有名ローカルウェブメディア「はまれぽ」です。

hamarepo.com

じつはこの媒体が立ち上がるとき、僕はスカウトされて1本だけ書いたことがあるのです。
「はまれぽ」の運営母体は IT 機器のリース会社で、この当時編集部には編集経験者が一人もいませんでした。つまりど素人の集団でした。
にもかかわらず、すごい上から目線だったのを覚えています。
ライターを単なるコマとしか考えていないことが、良く分かる会社でした。
「ライターは言われたとおりのことをしていれば良いんだよ」という態度。
僕が知っている世界では、編集部というのはライターと一緒に記事を作っていく場所という感覚があるのですが、「はまれぽ」では【発注主と下請け】という関係でしかありませんでした
まるでメーカーと系列の下請け工場のような上下関係です。

「まったく経験がないど素人集団にも関わらず、なぜこの人達は偉そうなんだろう」とひじょうに不思議に感じたことを覚えています。
たぶん彼らにしてみたら「金を出しているから、雇っているから、自分たちはお前より上だ」という感覚だったのでしょう。

 

残念ながら新しいクライアントとの出会いの場にはならなかった

クラウドソーシングの世界も「はまれぽ」と同じなのかも知れません。
「成果物はそこそこのクオリティでいいから、安く仕上げたい」そういうクライアントが発注する場なのでしょう。
それこそ100円ショップに収める商品の発注元と工場のような感じなのかも知れません。

ほんとうにクリエイティブな仕事をしてきた人物であれば、一緒に作る姿勢があるはずです。

ある方から

ランサーズってプロ意識の高いライターを求める層がめちゃくちゃ少ないと思います。

そもそも本も出してらして、ある程度収入があるなら、ランサーズは卒業されたらどうでしょう。
自分個人で受注するほうが、よっぽど高い案件が取れる気がします。

ランサーズは「月5万円の収入を目指そう」という内容で講座を行っていたりしますが、そもそもライターを生業にするなら、「1日5万稼ごう」じゃないと生活できませんよね。
そういう意味でも、あなたには合わないだけだと思います。

と言われました。

そこまで稼げていないからこそランサーズに登録したわけですが、確かにミスマッチだったのでしょう。

 

カツオの一本釣り用の竿でワカサギ釣る

別の方からもこんな風に言われました。

他のウェブサービスと同様に自分の情報やセールスポイントなどをきちんと打ち出していて、それでも特定のウェブサービス”だけ”リピートがないのであれば、考えられるのは1つだけ。
『客層が違う』ということ。

ランサーズのライティングのクライアントは割と緩い会社や担当者が多い。
単価もね。
そういう客層の場合、自分の緩い発注でもそれなりの仕事をしてくれるランサーを好む。
打ち合わせとか指示とかしなくても納品してくるような感じのライター。
それなりの〜というのは、緩い担当者でも理解できるレベルの仕事のこと。
質問文にもあるけど、「明らかに自分よりレベルの劣るライターが選ばれて」というのは、そういう緩い担当者だから見る”目”がナイということだろう。

そういう見る目のないクライアントに対して、質問者の仕事は合ってないのではないかな?
これは他の営業ゴトでも同じだけれど、自分の商品を買う人がいない場所で売り込みをかけても徒労に終わる。
カツオの一本釣り用の竿でワカサギ釣りをするようなものだ。

同じ Web上のサービスでも「ココナラ」では複数の方にリピートして頂いています。
値上げしても再発注してくれるクライアントもいます。

ランサーズ”だけ”リピートがないということは、そこにいる客は質問者の仕事と合わない、客層が合わないということ。
(そのクライアントが単発仕事しか出さないというのもあるけど)

そういう客層が釣れそうなキャッチーな仕事とポートフォリオに切り替えるのもいい。
それともそのウェブサービスは切ってしまうのもいいと思う。
サービス上で表示される実績数も積めないしね。
カネがかからないので出しておくだけでもいいけどね。

こちらとしては顔のある書き手として「見つけてもらう場」「出会う場」として捉えていたのですが、発注側は中国や東南アジアの工場に安く作らせるのと同じような感覚しか持ち合わせていないのかも知れません
少なくとも僕にとってランサーズは新たなクライアントとの出会いの場になっていません。

いまは自分でウェブメディア作ることを検討しています。