メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

住まいもフリーアドレス!現役大学生アドレスホッパーに率直に訊いてみた(前編)

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「アドレスホッピング」という言葉をご存じだろうか?

すっかり定着したノマドをさらに推し進めたスタイルで、仕事場のみならず住む場所さえも固定せず、そのときどきで自由な場所にねぐらを構える暮らし方を指す。先駆者である「市橋正太郎さん」という方が命名したのが3年前。昨年頃からメディアに取り上げられる機会が増え、知る人ぞ知るライフスタイルとして広まりつつある。

今回は、現役大学生アドレスホッパーに話を聞いてみた。

 

就活中もアドレスホッピング

野口福太郎さんは、今年の1月からアドレスホッピングを始め、現在までにおよそ100ヶ所を泊まり歩いてきたという。

 ▲テレビ出演歴があるなど、知る人ぞ知る存在▲

福太郎(以下「ふ」)「最初は週1くらいのペースで、それが2、3、4と増えていって、5月に定額制泊まり放題(Co-Living) のサービスに入りました。8月には 日本の三大 Co-Livingサービスをユーザー目線で比べたくて、三つ全部を併用して全国を巡っていました」

 ▼福太郎さんによるCo-Livingサービスのレビュー▼

note.mu

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Q:現在4年生とのことですが、就活中もアドレスホッピングしていたんですか?

ふ:ふつうに就活しながら、アドレスホッピングしていました。

1月、2月は就活を頑張っていて、実際にいく進路は4月に見つけて6月に決まったんですが、荷物を持ちながらでしたから、面接のときに驚かれました。
「あ、地方から来たんですか?」みたいなこと言われて「いえ、埼玉です」
「ええ!?」
「じつはこういうライフスタイルを実践していまして」


かなりのツワモノである。


実家暮らしに飽き飽き。都内のゲストハウスに泊まったら、刺激的な出会いが

Q:アドレスホッピングを始めたきっかけは、なんでしょうか?

ふ:三つ理由があります。

1. もっと冒険的に生きたかった

実家は浦和(さいたま市)で、早稲田大学に自宅通学していました。
三人兄弟の次男なんですが、兄が手の掛かるタイプなんです。僕はそれをみて要領よく生きるスタイルで、典型的な次男。でも就職活動を始めてから「もやもや」っとして「もっと冒険的に生きても良いよな」と思い始めた訳です。

もともと僕はミニマリスト志向だったので、必然的にアドレスホッパーの先駆者である市橋正太郎さんの情報も入ってきました。
「こういうライフスタイルも面白そうだな」と思い、試しにゲストハウスに足を運んでみたところ、価値観が混ざっている場所でかなり面白い。ラウンジスペースには外国人もいて、話したら楽しい。家に飽き飽きしていたこともあり、そのままのめり込んでいきました。

2. 一人暮らししたいが、初期費用や契約が面倒くさい

1ヶ月あたりの宿泊費は6〜7万くらいです。大学生の僕にとって「お金と時間をつぎ込んでいる」という感覚はあります。そこそこしますけど、本来東京で1人暮らしするときの費用よりも安めになるかな、という感覚です。

ちょっと足が出たとしても、その分すごい体験を毎日していると考えると、それだけの価値はあるのかな、と思います。価値が見出せるからこそ、お金を出そうと思えますね。

3. なにが起こるか分からない

主にゲストハウスやホステルを利用しています。「Booking.com」や「Agoda」といったオンライン・トラベル・エージェンシーで探しますね。エリアとか次の日の予定の合わせやすさ、料金をみてその日のうちに決めることが多いです。人との交流が楽しいタイプなんで、Airbnbは使っていません。

ゲストハウスは、なんと言っても出会いが醍醐味ですね。「ベッド一つあればいい」というタイプなんで、プライベートのないドミトリーでも全然大丈夫です。

リアル・カウチサーフィン(*註)したこともあります。たまたまイベントで話した人に「今日まだ泊まる場所決めてないや」「うち来る?」。そんなことも3回くらいありましたね。

*註:カウチサーフィン 旅行先で無料で泊めてくれる人を探すワールドワイドなウェブサイト

Q:ゲストハウスでの出会いは結構あるんですか?

ふ:ありますね。東京だと西側よりも東側の方が観光客が多く、交流が生まれやすいです。

僕は外国の人とも英語で話せるので、一緒に遊びに行ったりとか、ひっかけて飲みに行ったりとかします。
たとえば夏休みの頭にインド人といっしょに鎌倉に行きました。

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彼とはオートロックのトラブルが縁で仲良くなりました。僕がインキーして(締め出されて)しまい、たまたま同室だった彼が来たタイミングで入れたんです。逆に彼は開け方が分からないということで、手伝ったんですね。彼の最終日の予定が空いているというので、僕が行く予定だった鎌倉巡りに誘いました。

3日くらい前、右腕にタトゥーを入れたオーストラリア人がいたんですが、訪れた国の言語でぐるーと彫っている。「明日日本で入れるんだ」といって送ってくれた画像が、ちょっと微妙な。でも「それもまた一興」みたいな感覚が面白いんです。

Q:ひとつのゲストハウスには何日いますか?

ふ:以前は4、5日くらいいました。でもどんどん新しいところに行ってみたくなって、いまは毎晩変えています。

Q: 学生やりながらだと、首都圏を泊まり歩く感覚ですか?

浦和でやっている予備校のアルバイトと授業の関係で週1回は戻る必要があるので、ふだんは首都圏が多くなってしまいますね。

たまに実家に荷物を取りに行くこともありますが、どんどん整理して取りに戻る必要がないくらいにしようと思っています。

Q: 移動中の荷物はどのくらい持っていますか?

ふ:基本30リットルくらいのバックパックで生活しています。中身を大分類すれば、パソコンとケーブル類、4日分くらいの衣服、衛生用品ですね。それ以外はその場にある物を使います。

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Q: ミニマリスト実用主義者で、「つかわないものは持って歩かない」というイメージがあります。でも「思い出が詰まっているから」とか「愛着があるから」という観点から、持ち歩いているものはありますか?

ふ:長崎で買った「旅するカエル」のぬいぐるみにはご縁を感じていて、リュックに旅のお供みたいな感じでつけています。それ以外は余計なものは持たないですね。

 
一期一会で終わらせない、「一期二会」の出会いを心掛けています

Q: アドレスホッピングでの出会いは、その場限りが多いのではありませんか?

ふ:僕に関して言えば、「一期一会で終わらせない。一期二会を作る」ということを意識してます。さっきのインドの人のときも「こんどインドに来るときは連絡しろよ」と言われました。仙台で会った子がインターン先に遊びに来てくれたり、ということもありました。

2度会ったときにはじめて「通じ合えた。ご縁になった」と感じますね。

Q: ご縁という言葉、好きですね。

ふ:こういう生活をしていると、素敵なつながりがたくさん生まれます。僕はそういうつながりの中でこそ、ハッピーに感じるんです。「ご縁だけど5円以上価値がある」と勝手に考えていて。死んだらなにもものは持っていけないけれど、ご縁は自分が人生で手にしたもの。大事にしています。

最近、濃いつながりよりも「ゆるいつながり」(by 本田直之)があった方が、人はより幸福になれるという理論がありますね。そういう観点から、「もう1度出会う」ということは意識してます。


ゆるいつながり 協調性ではなく、共感性でつながる時代 (朝日新書)

出会いやつながりは泊まる場所に限らなくて、都内のイベントなどにふらっと出向いたら再会することもあるし、興味の対象が似ているから思わぬ場所でばったり、ということがあります。それで「おいーす」となって、最近こういう所に行ってた、こんなことがあった、という話になりますね。

Q: アドレスホッピング語りでは「多様な人に出会う」ということがしばしば語られます。地域の違い、年齢の違い、さまざまな違いがあるなかで、大学生である福太郎さんにとって刺激的な出会いとは?

ふ:年齢ですね。年齢差が一番でかい。年齢に付随して「人生の転換点」について話したりしていくと、おもしろいですね。

大学生だとハタチそこらの若造たちで群れがちですけど、ホッピングを通じて30歳くらいの人から、上は60、70くらいの人とも関わり合えます。人生の先輩であり、友達であり、みたいな存在がたくさんできるというのが一番良かったことかな。

Q: アドレスホッピング界隈のコミュニティーにも顔を出していますか?

ふ:出しています!ちょうど昨日もCo-Living サービスのウッドデッキと駐車場をセルフビルドするイベントに参加してきました。同世代のアドレスホッパーは超まれですが、20代中盤から50歳くらいまでの知り合いがいます。

後半につづく

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