ども。檀原(@yanvalou)です。
一昨日『愚行録』という小説を完聴しました。
【メーカー特典あり】 愚行録 (ダブルポケットクリアファイル(A4サイズ)付) [DVD]
「完聴」と書いたのは、オーディオブックで鑑賞したからです。昨年後半からオーディオブックのヘビーユーザーになったのですが、いかんせんまだ作品が出揃っているとは言えません。
売れ筋が自己啓発本やビジネス関係本ということもあって、文芸ものは数が少ないのです。数少ない作品のなかから「ちょっと面白そう」だと思えたのが『愚行録』でした。
「誰でもライターになれる」を逆手にとった設定
この作品がうまいと思ったのは、ラストのどんでん返しです。
発生から1年経って迷宮入りしつつある一家4人惨殺事件。新米のルポライターが、被害者家族を知る人々を訪ね歩いてインタビューしていきます。
テキストはインタビューイー(インタビュー対象者)の発話の書き起こしという体裁です。地の文はありません。
その一方、ときおり謎の女の独白が差し込まれます。いったい事件とどう関わっているのか? 読者の好奇心を煽りながら、物語をぐいぐいと引っ張っていきます。
最終的にこの新米ライターの存在が大きな意味を持ってくるのですが、思わず膝を打ちました。
そうです。
ライターって誰にでも話が聞けるんですよ!
おまけに誰でもなれてしまうのです。
書きたいことがある人はライターにならない?
いまやライターやブロガーが憧れの職業になったようです。
「あなたもウェブライターになれます!」
「在宅フリーランスで、自由を手にできます!」
などと書くライターは後を絶ちません。
しかし「憧れのあの人にインタビュー出来ますよ!」と書いている人を見かけないんですよね。不思議です。
きっとライターになる動機が「雇われない生き方」にあって、「好きなことを書きたいから」ではないのが原因なのでしょう。
もし本当に「好きを仕事に」と考えていたら、当然「好きな人にインタビューする方法」という記事が書かれまくり、検索されまくるはずです。
媒体さえあれば、話が聞ける!
さて、憧れのあの人にインタビューするには、どうしたらいいのでしょうか?
結論を言ってしまうと「掲載媒体さえあれば、断られる可能性は著しく低い」です。
ですから、メディアに企画を通しましょう。
あるいは自分でメディアをつくってしまいましょう。
もしくは「すぐには掲載されません。でも最終的には、本してまとめたいと思っています」でも構いません。
有名文化人やテレビに何度も出演している人物であっても、結構な確率でOKしてくれるはずです。
もちろんトップアイドルや国政の中枢にいる政治家の場合は難しいかもしれません。でも媒体と企画がしっかりしてさえいれば、結構なんとかなってしまうと思います。
僕の場合、話を聞きたい相手は文化人が多いです。かなり有名な方が相手でも、ほとんど断られたことはありません。これは自慢ではありません。試してみれば分かります。あなたにも出来るはずです。
手順ですが、直接メールしたり、電話したり、あるいはイベントのときに直接取材申請したりします。普段会えない文化人でも、サイン会のときであれば会ったり話したりできますよね? 別段むずかしいことはありません。
発表媒体がないときは?
もちろん発表のアテがない場合もあります。媒体が決まっていないとダメなのでしょうか?
そんなことはありません。
単行本の例を出しましたね?
企画書を用意しましょう!
しっかりした企画書さえあれば、だいたい大丈夫です。企画書の書き方はネット上に溢れかえっていますので、適当に検索してください。
はじめてのインタビューが原体験
Photo by Johanna Buguet on Unsplash
僕のはじめてのインタビューは学生時代。インタビューイーは画家の金子國義さんでした。25年くらい前の話です。
個展会場にいた金子さんにお声がけさせて頂き、その場で了承して頂きました。
有頂天でしたよ!
金子さんにしてみると、メリットなんかないわけです。
当時僕は仲間とミニコミ(現在は「ジン(Zine)と呼ばれています)を作っていたのですが、モノクロの手作り感溢れるシロモノでした。部数は千部程度だったはず。はっきり言って、影響力なんてありません。
しかし「上がり」の状態にある文化人(特に表現者)の多くは、「頑張ってる若い奴」を応援してくれる傾向があります。
よっぽど狭量でない限り、取材を受けてくれるはずです。
もちろん「忙しい時期だから」ということで、何ヶ月か待たなければいけない場合もあります。それでも断られることは少ないはずです。
金子さんの件で味をしめた僕は、次に漫画家の王 欣太さん(代表作『蒼天航路』)を取材しました。メディアに登場する機会の少ない欣太さんにお会いできたことで、僕はある意味「無敵」になりました。
この最初の2つのインタビュー体験が、僕の原点です。
その気になれば、誰にでも会える!
だからライターになりましたし、続けています。
「自由」とか「場所に縛られない生き方」がモチベーションではありません。
当初はメリットらしいメリットもないのにお時間を頂戴していましたから、良い原稿を書くことが恩返しでした。
いまも原稿には手は抜けません。
はっきり言って、かなりのプレッシャーがかかります。
「効率よく原稿をこなして、月収50万円目指します」という世界とは別の価値体系が、そこにはあります。
ときには「いい条件」とは言えない場合もあります。
ただそれは「やりがい搾取」とは違います。なにしろ自前の企画ですからね。
憧れの人への取材案件では、コスパという概念を一旦忘れた方が、うまくいくと思います。
結論:重要なのは企画書
Photo by Jack Sloop on Unsplash
憧れの人に取材するために必要なのは、掲載媒体を見つけ企画を通しておくこと。
ぶっちゃけて言うと、企画を通すのは取材後でも構いません。
しかし予め目星を付けておいた方が安心なのは、言うまでもありません。
メディアに企画を通すにしても、憧れの人に直接お願いするにしても、重要なのは企画書です。
直接お願いの場合は企画書なしでも話が決まってしまうことがありますが、その場合でも口頭で企画の説明をする必要があります。
憧れの人にどんな風に切り込みたいですか?
せっかく時間を割いてもらうのですから、がっかりさせないように入念に準備しましょう。
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!