ども。檀原(@yanvalou)です。
2019年は、記録的な日照不足による「梅雨寒(つゆざむ)」ですね。
梅雨はいつ明けるのでしょうか?
カード形式で最新のニュースやブログ記事をおススメしてくれるスマホアプリ「Googleアプリ」が、孤独死や若者及び現役世代の貧困の話題を毎日のように上げてきます。
現在日本では、統計上年間3万人が孤独死しているそうです。しかし実数は5万人とも6万人とも推測されていると言います。
その孤独死ですが、毎年梅雨の時期から一気に増え始めるそうですよ。
今年は嫌な死に方をした方が多そうな気がします。
なぜこんなことを書いているかと言いますと、能登に行く前に書いたビッグイシュー販売員の話に関連して、あるゴミ屋敷のことを思い出したからです。
!---今回の記事は、あまり気分の良いものじゃありません。
「閲覧注意」でお願いいたします---!
テレビでも取り上げられた横浜南部の異常なゴミ屋敷
最近はご無沙汰していますが、数年前まで財布が寂しいときは派遣などで肉体労働したものです。
その頃のエピソードを『週間 SPA!』で取材されたこともあります。
懐かしい思い出です。
(下の記事:初出は2016年12月の『週間SPA!』)
色々な現場に行きましたが、忘れられない場所の一つが表題のゴミ屋敷でした。
朝のワイドショー番組「とくダネ」では、こんな風にレポートしています(「J-CASTテレビウォッチ」より引用)。
(前略)
金沢区にはこれを上回るゴミ屋敷がある。ゴミを覆うブルーシートが歩道にはみ出し、ゴミの山には大量のダンボールがある。自転車のタイヤや脚立、古いビデオデッキなどが2階ベランダまで積み上げられている。この状態が20年近く続き、今年7月にはベランダの柵が壊れ、隣家に大量のゴミが押し寄せた。けが人はなかったが、隣の住民が片付けると「10袋以上あったかな」という。裏の神社はゴミの不法投棄で境内にゴミが散乱し、立入り禁止にした。家主は60代一人暮らしの男性で、町内会が3月に片づけを求める通告書を渡したが、約束しただけで、近所の住民が出て片付けるのをただ見ていた。公園などで暮らす家主を田中が直撃すると、「話すことはない」と拒否する。
何の因果か、僕はこのゴミ屋敷の片付け作業をする羽目になったのです。
2016年10月下旬、正確には10月26日からしばらくの間のことでした。
横浜市議会が同年9月21日に、いわゆる「ゴミ屋敷強制撤去条例」を可決したことを受けての作業でした。
雑誌が腐って腐葉土に!
家の中も庭も駐車スペースも、おびただしい雑誌や本やレコードや衣類などで埋め尽くされています。
なにより驚いたのが、最古層の雑誌が肥やしのようになっており、腐敗して腐葉土になっていたことです。
雑誌が自然分解して、土に還っている!
信じられますか?
ゴミは1980年代初頭からため込んでいたらしく、底の方にはマイケル・ジャクソンの大ヒットアルバム「スリラー」などが埋もれていました。
この家の裏手は神社だったのですが、ゴミが溢れて境内まで溢れかえっていました。
リンク先の写真を御覧下さい。
ゴミが崩れて隣家に押し寄せるのも時間の問題だったでしょう。
玄関。もちろん扉は開きませんでした。
……いえ、以下の記事によると既に隣家は被災していた模様です。
事態が動き始めたのは今年7月。ごみ屋敷2階のベランダからはみ出し積み重なったごみが、崩れ落ちた。落ちたごみは、隣家の物置の屋根を傷め、庭に散乱。困った隣人が区役所に相談した。
じつは横浜北東部の鶴見区にも悲惨なゴミ屋敷があったらしく、それが前述の条例制定につながったという訳です。
毎朝「出勤」する家主
家の中はうずたかく積み上げられたゴミの山で足の踏み場がなく、玄関の上がり框(かまち)や階段は腐って穴が空いています。
窓もゴミでふさがって採光の役目を果たすことが出来ません。
電気は止められているので、昼間から薄暗いのです。
かび臭い臭いも充満していました。
こんな家ですが、家主は近所の公園で暮らしていたようです。
毎朝作業開始の直前にボロボロの自転車で「出勤」し、作業を眺めています。
そうして僕らがより分けたゴミににじり寄り「これは捨てるな。これは良い」などと指示し始めるのです。
全然反省の色がありません。
結局、1週間でゴミを撤去する予定が、あまりの量の多さに延長せざるを得ず、2週間に。
いったいパッカー車何台分のゴミが出たでしょう?
並大抵の量ではなかったことは確かです。
なにしろ出しても出しても「全然減っているという実感がなかった」のですから。
撤去しても、再びゴミを集め出した家主
条例施行当時、横浜市内には60軒ものゴミ屋敷があったそうです。
割とお金を持っている横浜市ですから、そのすべてに対し強制代執行を行ったと思います。
しかし効果はあったのでしょうか?
確認のため、半年後の2017年5月18日にこの家を再訪しました。
一見すると、すっきり片づいたように見えます。
飛び込みでお向かいの家に話を伺ってみました。
こちらのお宅は同地に1993年に越してきた、と言います。
ゴミが問題になったのは95、6年辺りからとのこと。
ゴミが片づいてからも家主は相変わらず野宿しているそうですが、時々自転車に乗って戻って来るのでした。
行動パターンが全然変わっていませんね……。
肝心のゴミは、徐々にではあるものの、再び増えているそうです。
確かに窓から段ボールが覗いている……結構な高さで。
いまも市役所の職員が面会に来ているものの、家主は対応したり、しなかったり。
家主にはお姉さんか誰かがいるそうですが、ほかに親族はいないらしく、完全に世捨て人となっているそうです。
この男性は、遅かれ早かれ孤独死してしまいそうに思えます。
しかし孤独死を扱った記事でおきまりの「孤立して誰にも助けを求められず命を落とした」という感じからはかけ離れています。なにしろ定期的に市の職員が訪問していますし、メディアでも取り上げられてご近所でも有名ですから。
ゴミ屋敷に関して、条例や罰則で解決出来るようには見えません。
あきらかに精神疾患が関係しているように思えます。
さらにこの物件の場合は被差別部落に位置しているということもあり、なにか深い因縁のようなものを感じてしまうのでした。
長びく梅雨空のせいで、変なことを思い出してしまいました。
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!