ども。檀原(@yanvalou)です。
突然ですが、ステーキハウスの「アウトバック(OUTBACK)」をご存じですか?
日本で展開しているアメリカのチェーン店です。
ゆったりした間取りや若干薄暗い照明、天井から釣られた大型スクリーンなど、かなりアメリカンなお店です。
残念ながら、まだ料理を食べたことはありません。
先日、このアウトバックで「OUTBACK物語」という無料の冊子を置いていることに気がつきました。
大きさは手帳サイズ。
横書きでイラストなどは皆無です。
(最後の方にカラーの漫画がついていましたが)
毎年1回発行しており、この画像のものは第4弾ということになります。
この冊子はなにかというと、アルバイトも含めた従業員の「心に残ったエピソード」を社内で募り、まとめたものです。
編集はマーケティングマネージャーの「岩淵あさぎ」さんという方がしているそうで、たぶんこの方が発案したアイデアではないかと思います。
チェーン店の店員にはなかなか親しみを持ちづらい訳ですが、
この冊子を通じて店員たちに親近感を持ってほしい。ひいてはアウトバックそのもののファンになってもらおう!
そんな意図が感じられます。
内容に関しては、今時の若い世代がブログやネットメディアなどで提示する「仕事のやりがい」「感動」がテンプレのように並べられたもので、半分も読めば「おなかいっぱい」なのですが、それはそれ。
こういう企画を形にするのは、ちょっとすごいな、と思いました。
この冊子には全部で13のエピソードと1本の漫画が収められています。
内容を一部を紹介しましょう。
とりあえずエピソード1 だけにしておきますね。
著作権の関係があるので、部分的に引用しながら話を進めます。
(原文は改行が少なくウェブでは読みづらいので、勝手ながら改行を入れさせて頂きました)
語り手はアルバイトとして働き始めて1ヶ月の新人。
ホールにいましたが、とつぜんバーテンダーに配置換えされます。
私がバーテンダーになる?!
何でもない顔でお酒のレシピを受け取りましたが、心の中では「絶対に無理無理無理無理! 嫌だ嫌だ!! 何で私が??」と叫んでいました。
まだ入ってーケ月だった当時の私は、バーの雰囲気、バーテンダーのオーラ、力ウンターのお客様方を別格に感じていたのだと思います。大げさかもしれませんが、近づき難い“別世界の場所と人たち”というような感じです。お酒が苦手だからバーテンダーになるのが嫌だということもありましたが、その世界に入ることが怖かったということが一番の理由でした。他の仕事もまだメモを見ながらなんとかこなしているという状況の中で、バーへのモチベーションはゼロに近く、でもバーの先輩メンバーの志の高さやプライドを日に日に痛感しこんな気持ちでバーに入ってはいけないし、みんなをガッカリさせたくない! モチベーションを高めなくちゃ。でも、本当はやりたくないな」と思っていました。
家に帰ってもこの真逆の気持ちと毎日のように葛藤していました。まだ新人だったせいか、他のアウトバッ力一には誰にも本心を言えずにいました。仕事でバーの先輩たちに会う度に「レシピのテスト頑張れよ一」と声を掛けてもらっていましたが、それに対して「頑張ります!」なんて明るく強がって嘘をついているみたいで苦しかったです。
バーテンダーというポジションに抵抗を感じていた語り手は、当然のようにレシピの筆記試験で散々な結果を出してしまいます。
信頼している先輩からは「満点を取る気持ちでやって欲しい」と言われる始末。
語り手は、つい先輩に本音をもらします。
先輩は「何も知らずにプレンシャーを与えてしまってごめん、思いを伝えてくれてあリがとう!」と言ってくれました。言いたい放題の私を受け止めてくれ、救ってくれた言葉でした。
この一言をきっかけに、語り手はモチベーションを獲得し、バーテンダーの仕事に打ち込むようになります。
そしてついにはオーストラリア人のクリスという自分の常連客をつかみます。
クリスがふいに「グッチは英語も話せるしフレンドリーだし、バーテンダーに向いているね」と言ってくれました。バーテンダーとしての自分に自信がなかった私にとって一番嬉しい言葉でした。
(中略)最近では会うたびに「次はいつシフト入ってるの? 分かった。その日も行くね!」と言ってくれるように
なりました。
……とまぁ、感動に砂糖をまぶしたようなエピソードが延々つづきます。
どのエピソードもこの調子なので、単調に感じられます。ひたすら「いい話」「エモい話」で攻めてくるので、飽きてしまうんですよね。
編集方針もあるのでしょうが、僕だったらこんな風に描きなおすように注文をつけます。
- 自分目当ての常連客を持つって、どんな感覚なんだろう?
- 常連を獲得するために、どんなことに気をつけているんだろう?
- ある日の常連さんとのやりとりを、具体的に再現してほしい。
これがこの手記を読んだ僕の感想です(きっと編集方針にそぐわないと思うます)。
我ながらめんどくさい読者ですね。
ただ自分の書いたものに対しても、突っ込んだ意見が欲しいと思っていますし、何も反応がないのが1番つまらないと思うのです。
個人的な賛否はさておき。
この原稿はふつうのアルバイトや社員が書いたものですが、おそらくリライトが入っていると思います。
つまりライターが仕事に参加しているのでしょう。
ライターが飲食チェーンでも仕事をする時代になった訳です。
私たちの仕事は紙媒体やウェブだけにとどまらず、こういう分野にも広がっているのかも知れません。
なにしろ、いまほど文字が読まれている時代はありませんからね。
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!
2018年9月23日 若干加筆修正しました。