Shells Kitchen Works 古賀美紀さん
2015年5月22日に取材した東京・吉祥寺の料理教室「Shells Kitchen Works」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。
教室の性格は先生のキャラクター次第である。
個性的で楽しい先生から教わったら、単なる習い事以上の楽しいひとときが過ごせるにちがいない。「Shells kitchen Works」の古賀美紀先生は大らかで気取りがないので、接していて気持ちがいい。
「下田で4年、吉祥寺の自宅で1年、和・洋・中の家庭料理を教えています。
じつは料理に目覚めたのは20代の半ばを過ぎてからなんです。それまでの私はまったく料理に興味がなかったんですが、母が年頃の私の無頓着ぶりに危機感を覚えまして料理教室に行くことを強く勧められたんです。『習うならイタリアン』と思って探したのですが、当時はまだ教室があまりありませんでした。たまたま家から比較的近い町である下北沢にイタリアンの教室があったのですが、そこに家庭料理のクラスもあり、そこに10年以上通うことになったんです」
レシピの手順通りに作業を進めていったら、わたしにも上手に出来た。それがものすごい快感だった。
最初の授業でつくったのは洋梨形のコロッケ。そこから始まってだんだん難しい料理に挑戦していったが、レシピに従うとやはりきちんとしたものができる。その繰り返しでどんどん腕が上がっていった。
じつは料理を習い始めるまで、古賀先生は好き嫌いが多かったそうだ。ところが教室に通い始めてから嫌いなものが激減。食わず嫌いが多かったのが、色々な料理を口にするようになった。
食材や調味料の質にも関心をもつようになり、やがて興味の対象はライフスタイル全般にまで及ぶようになった。料理が入口になって、世界がどんどん広がっていく。周りの友人からしたら、以前とは別人のようになった自分。まるでシンデレラのようだ。
通っていた教室では先生の資格を取得することが出来た。しばらくアシスタントとして働いていたが、資格をいかして自分でも教えたくなってきた。そんなとき古賀先生は下田でひとつの出会いを迎えた。
じつは料理教室に通い始めたのとほぼ同じタイミングで、釣りもはじめていた古賀先生。自分で釣りあげた魚をどうするか、という部分からも料理にハマっていったそうだが、月一のペースで通っていた下田で空いた時間に受講したお菓子作りのレッスンが道を切り開いた。自宅キッチンを開放しているオーナーさんが同年代だったことから意気投合。下田で教室を開くことになったのだ。
やがて引っ越しを機に、下田と平行して都内でも本格的なクラスを主催するようになっていく。
「うちの教室では1クラス6人まで教えています(下田は希望があれば、最大10人まで)。アピールポイントと言える部分は、上質な食材をつかっているところでしょうか。高級というより、質の良い物を選んでいます。とくに下田のクラスでは、私が自分で釣った魚を使うことが多いです。この『自分で釣った魚を教室に持ち込む』というのは、ずっとやってみたかったことなんです」。
ちょうど取材に伺った前の週に、先生は『日刊スポーツ』主催のマダイ釣り大会に参加したそうで、その時の話を嬉しそうにしてくれた。じつに気さくな女性なのだ。そんな人柄に好感をもつ人たちが受講生として長く通っているのだろう。
クラスでは月毎に和、洋、中のメニューをローテーションで教える形を取っている。毎回テーマに沿って5~6品程度のレシピを実習形式で教えている。入会金はなく、レッスンは一回完結なので、気軽に参加しやすい。
「教室は BGM が流れる楽しいキッチンでやっています。でもおしゃべりでかき消されて聴こえないことも多いですが(笑」
クラスでは受講者が家庭でレシピを再現できるように気を配っているという。食材はスーパーで買えるものや代替品が見つけられそうなものを中心に選んでいる。家族に食べてもらってよろこんで欲しいからだ。
「レッスンの最後に試食会をしますが、大皿に盛り付けておもてなし料理みたいにしています。でもひとつひとつのメニューはシンプルなんですよ」
東京のクラスのときは、お酒も出てくる陽気なひとときになるそうだ。
ここまで読んで、古賀先生の料理を食べてみたいと感じた読者もいるのではないだろうか。じつは先生は外苑前でランチのお店『ごはんやPAROLE(パロル)』をやっている。出汁とたっぷりの野菜を使った週替わりのお膳を出しているそうなので、まずはこの店に足を運んでみるのが良いかもしれない。
Shells Kitchen Works(しぇるず・きっちん・わーくす)
主催者:古賀 美紀(こが みき)先生
東京都武蔵野市吉祥寺南町3-36-10-302
http://shells-kw.com/
【2020.09.29 追記】
「note 朗読」という活動を展開している在宅ナレーターの虹倉きりさんに、この記事を読み上げて音声コンテンツ化して頂きました。