メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

全国で4カ所しかない捕鯨基地の一つで鯨の解体を見学した

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ども。檀原(@yanvalou)です。

今回は「である調」でお送りします。

 

2019年8月22日。千葉県房総半島の外房側にある和田浦不定期に行われている鯨の解体を見学した。

誰でも見学できるのだが、見物人の数は多くない。
というのはグロいからではなく、朝早いからだ。
和田浦で捕獲しているのは「ツチクジラ」というクジラとしては割と小柄な品種だが、肉を柔らかくするため、捕獲から18時間経ってから解体するという。

野生動物を捕獲するのだから、何時に取れるかは運次第だ。
つまり解体時間はそのときどきでまちまちなのだが、どういう訳か早朝3時とか4時という時間帯が多い。
つまり泊まり込み覚悟で行かねばならず、しかも前日に突発的に発表されるものだから、なかなか見学できないのだ。

たまたまこの日は「朝10時開始」というラッキーな時間帯だったため、参加することが出来た。

クジラの漁期は毎年6月20日から8月末までと決まっている。
もう少しで見学できないままシーズンが終わるところだった。

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和田浦駅のホームには、ツチクジラの頭骨がディスプレイされている。
首都圏にこんな場所があるなんて、驚くばかりである。

 

さてグーグルマップで確認しながら15分ばかり歩くと、漁港が見える。

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中央奥やや左寄りの四角い建物の裏がクジラ専用の船着き場だ。

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このまま進むと鯨の解体小屋が見えてくる。

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現地に着いたときには、既にクジラが陸揚げされていた。
「小さい品種」とはいうものの、やはりクジラである。でかい。

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クジラの背中に刺さっているオレンジ色の物体が銛だ。
大きくひしゃげているのでどれだけ大きな力が加わったのかが分かる。

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これがクジラの解体で使用するノコギリ。生々しい。
ノコギリとは別にクレーンを使って引っ張ったり、中国武術で使用する鉈のような刃物もつかって巨大な生き物をバラしていく。

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水産庁の方が都度細かくサイズなどを記録してから解体を進める。

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クジラの血はすべてここに集まるように出来ているが、解体が佳境に入るとアクのようなものも大量に流入しており、思った通りの絵が撮れなかった。

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まずヒレから落とす。
すっと刃先が吸い込まれる。

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方々から切れ目を入れ、ワイヤーをかけウインチの力でメリメリと剥がす。
最初は皮、次は肉を剥がしていく。

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刃は鋭いが脂で切れ味が鈍るので、時折砥石のようなもので磨いていた。

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鯨の皮を頂いた。ちょっと薄手のウエットスーツのようだった。 

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背中側の皮が剥がしていく

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ウインチで引っ張りながら、左側面の皮を剥いでいく。

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肉塊に近づいていくクジラ

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めり込んだ銛が痛々しい。

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ホースで血を流しながらの作業。足元は文字通り血の海に染まる。

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肉を剥がすため、上乗りになって切り込みを入れる。

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解体と同時進行で肉の切り分け作業が行われている。

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肉を剥がすと内蔵のあった場所がぽっかりと空いていた。

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f:id:yanvalou:20200904051545j:plain内蔵には生々しさがなく、ゴムのようだった。

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いよいよ首を切り落とす

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鼻先を切断して記録する水産庁職員

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中華街の市場に並べられた豚の頭を連想させる

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頭部の断面図。

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内蔵の内容物まで検査する

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切り出された肉類。

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解体を見学する人々。地元の人々は子供の頃から見ているという。
なんとなく話しかけたよそ者然とした人たちは、考古学の研究者たちだった。彼らに限った話ではないが、クジラに興味を持つ人たちは高学歴者が多い。

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骨になっても記録作業は終わらない。

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佳境に入った切り分け。小屋の外では客が待つ。

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お疲れ様でした。

解体現場からは獣臭のようなものが漂っていた。
しかし粛々と作業が進行するため、野蛮さは感じない。
むしろ大きな音を立てるビルの解体現場の方が野卑である。

作業員は黙々と動きつづけ、クジラの巨体は2時間足らずで解体し尽くされてしまった。

 

改めてクジラの威容を確認しておきたい。
和田浦の「クジラ広場」にシロナガスクジラの全身骨格が展示されている。

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地球上で現存する最大の動物種で大きいものは34メートルに達するという。
一方和田浦で水あげされるツチクジラは11〜12メートルとずっと小さい。とは言え、千葉県の沖合にクジラがいるという事実に驚かないわけにはいかない。

和田浦捕鯨を営む唯一の会社である「外房捕鯨株式会社」社長の庄司義則さんはこんな風に語る。

漁期は6月20日から8月末まで。ツチクジラは夏場に水深1,000〜3,000メートルの海に来る習性があるため、海底の地形が急に深くなる外房では、沖合6マイル(約10キロメートル)くらいで捕獲できます。日帰りが多いのですが、捕れない場合は沖合で2〜3日留まることもあります。

ツチクジラは音に敏感なため、いったん潜ると40分は出てきません。できるだけ静かに近づき、50メートル以内の射程から捕鯨砲で銛を発射します。肉を柔らかくするため、捕獲から18時間経ってから解体します。

 庄司社長は「漁師」という風采ではなく一般企業の経営者のようだ。というのも氏は海外経験も豊富で、我々のイメージする漁村の男とはかなりちがうタイプだからだ。

もし興味があったら 庄司社長のブログを読んで欲しい。
すこしばかり捕鯨のイメージが変わると思う。

gaibouhogei.blog107.fc2.com


今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!

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