ども。檀原(@yanvalou)です。
皆さんは神社の多くが犬猫などのペット禁止なのをご存じですか?
上記の記事のように、近年ペットを連れた参拝にOKを出している神主さんもいますが、多くのところでは未だに禁止しています。
このような背景を前提として、以下の記事をお読みください。
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イノシシやシカ、クマ、サルなどの野生動物によって引き起こされる被害が深刻である。精魂込めて育てた田畑が荒らされたり、樹木の表皮が剥がされたり、森の下草や新芽が食い荒らされて禿げ山が出現したりしているのだ。
とは言え、獣害を被っているのは農家や林業家だけではない。意外な業界も被害を被っていたのだった。
●穢れを持ち込む野生動物
日本の伝統では、動物を「穢れ」として神聖な場所から遠ざける傾向がある。たとえば伊勢神宮では「ペットを連れての参拝はご遠慮下さい」とうたっている。
伝統的な和食には肉料理が含まれていない。これは殺生を禁じる仏教の影響だけでなく、「穢れ」という神道、陰陽道に仏教が混在した概念が原因だ。
少し難しくなるが、862年ごろ日本独自の文化として成立した「六畜の穢」という考え方がある。
これは馬、牛、豚、犬に関するタブーで、肉食や動物のお産、咋い入れ(犬が骨を持ってきて敷地に埋めること)、フン害、カラスによるいたずら、鳥が群れて屋根で騒ぐ、などを「穢れ」とみなし、避けるという風習だ(*「六畜」は前記の4種類の動物の他に鶏と羊を含むが、実際の運用では除外された。また猪や鹿の肉を食すことも「六畜の穢」に準ずるとされた)
「伊勢神宮は、内裏・朝廷よりもさらにいっそう清浄であることが求められた。『伊勢太神宮参宮儀式』によれば、六畜(鶏を除く) の食穣は百日間消えず、神宮の神官は鶏、卵ともに食べなかった。このほか猪、鹿、羚(かもしか)、熊、猿を食べず、狐、狸、兎は食べても被れにはならないが、参宮前の三日は食べてはいけないと決められた」(仁科邦男『犬の伊勢参り』平凡社新書 2013年より)
同書によると平安時代末までの300年間に天皇の御所周辺で120件以上の「犬による穢れ」の記録が残っているという。その度に皇居の行事は延期された。伊勢神宮で20年ごとに行われる式年遷宮も、犬による穢れでしばしば延期されたという記録が残っている。
神社にとって野生動物は厄介な存在だったのだ。
●創建以来、神社と獣害は切っても切り離せません
という訳で、歴史的な経緯や考え方を見ていただいた。実際の所、山里の神社では獣害による穢れに対してどのような対策を講じているのだろうか?
匿名を条件に話を伺ったのは、近畿地方の由緒ある神社。広報担当の方によると、ご神域に野生動物が侵入するのは「毎日のこと」で、もはや侵入を防ぐことを諦めているという。
「獣害は昨日今日始まった問題ではなく、人間が集落を作って以来、連綿とつづいてきた課題です。うちでも創建以来、獣害は切っても切り離せません。山には動物のみならず鳥や虫までいます。防げるはずありません」という心境なのだそうだ。
では「穢れ」に関しては、どう対策を取っているのだろうか?
「毎月行っている月次祭(つきなみさい)や例祭(重要度の高い祭典)で近隣の末社をふくめた付近一帯をお祓いしています。動物がフンをしたという場合などは、清掃員がきれいにします。動物の侵入は日常茶飯なので、一々お祓いしていたらキリがありません」
これが日本の山里と野生動物の現実なのだ。
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いかがでしょうか?
某ウェブメディアに掲載予定だった原稿ですが、直前になって「職業差別条項に抵触するので掲載できない」と言われてしまいました。
先方曰く「穢れ」は職業差別を誘発する考え方なので、掲載できないというのです。
考えすぎだと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
参考までにこんな記事へのリンクも張っておきます。
数年前の話ですが、漫画が原作の映画『テラフォーマーズ』を観た黒人男性が「この映画は黒人を差別している!」と抗議したという話を連想しました。
『テラフォーマーズ』は人形に進化したゴキブリと人類が火星で死闘を繰り広げるSFです。登場人物の中に黒人は影も形もありません。読者がゴキブリと黒人を同一視することもないと思います。「言われてみれば似ていなくもないな。だからと言って……」というのが大方の反応ではないでしょうか?
つまりこの件はその黒人男性の被害妄想が原因だと思うのです。
僕が書いた神社における獣害記事が差別に該当するというのも、ポリコレに対して過剰に心配性な編集者の行きすぎた判断だと思うのですが……それともいまはこれが普通なんでしょうか? 炎上は怖いですもんねぇ。
皆さんの御意見をお聞かせください。
今日の記事は以上です。
またのお越しを、お待ちしております!