メケメケ

メケメケ

町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

お婆さんになってもつづけられる趣味はありますか?

f:id:yanvalou:20180303011835j:plain

Photo :  趣味なび

 2015年5月28日に取材した東京・大田区の 「DECOクレイクラフト」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。
記事の内容は取材時のものです。

花の美しさ、艶やかさに異論を挟む人はいないだろう。古来、人間は花の美しさを愛で、さまざまなアートを発展させてきた。花の美しさを永遠に留めようという努力も行われてきた。たとえば「花の絵を描く」という行為も、花の美しさを永遠に封じ込めようという工夫の一種にちがいない。

DECOクレイクラフト(以下「クレイクラフト」)のすごいところは、永遠に色褪せない花を粘土で実現してしまったところにある。花びらの1枚1枚を生き生きと再現した作品は、とても作り物には見えない。この技法が開発されたのは1981年のことだった。

「粘土を焼かずに陶器風の作品ができないものか」。

試行錯誤の末、宮井和子さんが編み出したのがクレイクラフトだ。「焼かない陶芸」という開発当初の惹句の通り、手軽に扱えてきちんと硬化するのが DECOクレイクラフト協会の粘土である。初期の頃は石粉粘土の上からジェッソを塗り、淡い色で彩色し、ニスで仕上げるという手法を採っていたそうだが、1997年に粘土を独自開発。この粘土は「DECO オリジナルソフトクレイ」とよばれ、乾燥させると紙粘土のように軽く、ちょっとした高さから落としても割れない、という優れものである。

手芸店で扱っている一般の粘土でも同じような作品はつくれるそうだが、協会の粘土の利点はマシュマロのように柔らかく餅のように伸びのいい粘土を使うので繊細な表現が可能だということ、そして焼成する必要がないことである。半日〜1日あれば乾燥して固まるので、保存も容易だ。扇風機を使えば、半乾きさせるのまでに一時間である。

彩色の手間がいらないというのも利点だろう。クレイクラフトでは白い粘土に16色ある色粘土を混ぜて色彩を表現する。色粘土を混ぜて調色するため、筆などで彩色する必要がないのだ。

クレイクラフト作品のモチーフは花が8割、スイーツが2割程度だという。動物や昆虫、かわいらしいサンタクロースなどのマスコット的な作品を見かけることもある。

用途はフラワーデザイン(フラワーアレンジメント)とかなり近い。部屋を飾りつけたり、結婚式などでウエルカムボードを制作したり。造花と混ぜることでさらに拡がりを持たせることも可能だ。もちろんプレゼントしてもいい。アレンジメントの花も良いが、花や葉を完全手作りしたクレイクラフトであれば、受け取った側に強い印象が残るにちがいない。

生活を豊かに彩ってくれるクレイクラフトの教室は、国内はもちろん海外(ハワイ、アメリカ本土、台湾、香港、ロシアなど)にも多数あるが、品川で教えているのが難波美和先生だ。

先生がクレイクラフトに出会ったのは中国。北京の友人宅で作品を見かけたのが縁だった。運動は得意だったが、家庭科系のものには手を出してこなかったのにも係わらず、クレイを見た瞬間「これだ!」と直感したのだとか。「お婆さんになってもつづけられそうなところもいい」と思ったという。

習い始めて数年経った頃、教室仲間の一人が帰国することになった。先生ご自身も日本に戻ってきたのだが、その友人から「日本でもつづけたいので教えてよ」と言われたのが、教室を始めるきっかけとなった。難波先生は「せっかく長くつづけているのだから、資格を取れば?」と薦められ、講師の資格を取得していたのだ。

「その友人はランチ仲間になってしまって、教室にはほとんど顔を出していないのですが、彼女の一言がなかったら教室は開かなかったと思います」。

レッスンは主に先生のご自宅で週2〜3回のペースで行われている(毎月つど開講日が告知される)。1コースは10回(1回あたり2時間〜2時間半)。コース1と2(併せて20コマ)を受講すると教室を開講できる仕組みである。

1クラス1〜4名の少人数制なので、安心して指導を受けることが出来る。参加者のレベルに開きが見受けられることもあるが、先生が一人ひとりにアドバイスしながら見てくださるので心配はいらない。

受講者の年齢層は子供から70代までと幅広く、アットホームだ。ボリューム層は20代から40代だが、1/3はお子さん連れ。親子教室や子供の夏休みの自由研究のバックアップもしている。レッスン後はお茶を飲みながら和気あいあいとしているという気軽な雰囲気で、見学も受け付けているので、難しく考える必要はない。

クレイクラフトの魅力は冒頭で述べた通りだが、魅力的な作品をつくるには、やはり練習が必要である。

「花びらの伸ばし方が難しいんですよ」と難波先生。

粘土の封を切ったら、色の粘土を混ぜて色を作る。色粘土は6色白の粘土に混ぜて使うことより、多数の色が出来上がる。粘土を薄く伸ばし1枚1枚花びらを作っていく。型に押して花びらを作ることもあり多様な花を作り出す事が可能だ。

なにか習い事をして生活に彩りを持たせたい、と思ったら気軽に参加できる難波先生のクレイクラフトはオススメである。

クレイガーデン
講師:難波美和(なんば みわ)さん
住所:東京都大田区

ameblo.jp