メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

震災で世の中からパンがなくなったとき、パン作り再開したんです

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パンお菓子教室 cuisine farine 坂口則子さん

2015年6月27日に取材した横浜市港北区パンお菓子教室「cuisine farine」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。
記事の内容は取材時のものです。

 「趣味でずっとお菓子やパンを作っていました。独学で悶々としながらやっていた期間が長かったので、『こういう教室があれば通いたい』と自分がイメージしていた教室をやっています」と坂口則子先生は語る。

 ずっとひとりで作っていた、という坂口先生だが、辛口のご主人の存在は大きかったようだ。「お店で売っているのとちがうよね」などと言われるたびに、生来の負けず嫌いが頭をもたげ「次は頑張ろう」の繰り返しで上達してきたという。しかし味の方は上達しても、クリームの塗り方や絞り方などはプロには敵わない。そこで一念発起し、製菓製パンの専門学校の通信課に入学した。

「美味しいものの作り方を教えてくれると思っていたんです。でも学校で教えてくれたことはレシピや技術よりも公衆衛生や製菓理論などが中心で、自分が教わりたいこととギャップがありました」

 パンお菓子作りの基礎習得には役立ったが、レシピは古典的なものが中心で物足りなかった。特にお菓子作りは一から技術を学びたいと思い、改めて辻口博啓氏の「スーパースイーツスクール」に通い始めた。このスクールでスイーツ・インストラクターコースを修了し、同校認定インストラクターの資格を取得。アシスタント講師として勤務しながら、自宅でパンとお菓子の教室を開いて今に至っている。

「外で教える楽しさは『スーパースイーツスクール』で満喫しています。多いときは12名もの受講生を一度に見ないといけないので、自宅で教えるのとはまったく違います」

 逆に自宅の教室では、家庭教師のように受講生にあわせたレッスンを行っているという。1クラスは1名~3名の少人数制。一人ひとりを見ていく形を取っていくうちに、必然的に個人レッスンっぽくなっていくという。

 レッスンは週1〜2回、月6コマ前後のペースだが、大手のスクールとは異なり、可能な限り日程の調整に応じるという。子供がいたり、仕事を持っているなど忙しい受講生が少なくないからだ。1回毎完結が基本だが、希望があればコースレッスンにも応じるという。

「最終的にどこまでやりたいのか、受講生の希望を聞きながらカリキュラムを組み立てて、提案しています。好き嫌いの要望もお聞きします」。

 パン作りの大きな転機となったのは、専門学校入学直前に起こった東日本大震災だった。世の中からパンがなくなったこのとき、坂口先生は自宅にあったイーストで長年お休みしていたパン作りを始めた。だんだん生イーストの入手が困難になり市販の天然酵母を使いはじめたがいまひとつ。そこで自家製酵母作りに取り組むことにしたという。その後1年を通し自家製酵母パンを作れるようになり、専門学校を卒業後、製菓衛生師免許を取得。教室をひらくきっかけとなった。

「パンもお菓子も独学で失敗を繰り返したからこそ、成功のヒントを教えることができると思うんです」。

 現在教室で使っている自家製酵母はフルーツ(主にりんご)を使った酵母である。酵母作りは暑い時期に限定される。しかし一旦発酵してしまえば、酵母を冷蔵庫に保存し管理していくことで、安定した状態を保つことが出来る。数年保たせることも可能だという。

 自家製酵母で作ったパンの利点は、冷凍しても味が落ちにくいことだそうだ。長い時間発酵させて作ったパンはゆるやかに老化していく。保ちがいいのだ。

「一般家庭でこそ、まとめて作って冷凍しておくのがオススメです」。

 天然酵母レッスンでは一次発酵に時間がかかるため、作成済みの生地の分割から行っているという。生地の作成プロセス自体はデモンストレーションの形になってしまうものの、失敗しないリンゴからの酵母のおこし方、元種の作り方も伝授している。酵母作りから焼成まで、すべての工程を実践的に学べるのが特徴だ。

 パンのレッスンは朝10時からの3時間である。二次発酵を待つ4~50分の間、こだわりの昼食を出す。食事パンはアレンジをして。惣菜パンはパンにあうサラダやスープなどと一緒に、そのまま朝食やランチに使えるメニューを提案している。

「教室というより、友人同士で和気あいあいとパンを作っている雰囲気ですね。自宅なのでお昼もご用意できますし、一緒に楽しんだ上でご自宅で実践していただけたら、と思います」。

「cuisine farine」には自家製酵母パンのレッスンとは別に、イーストや市販の天然酵母を使った手ごねパンのレッスンもある。また辻口氏のスーパースイーツスクールのレシピをベースにしたお菓子作りも教わることが出来る。

「『つくりたい、でも』と二の足を踏んでいる方をアシストできれば」。

 坂口先生の教室なら、実用的なパンづくりやお菓子作りが学べそうである。

 パンお菓子教室 cuisine farine
講師:坂口則子(さかぐち のりこ)さん
横浜市港南区

cuisinefarine.webnode.jp