メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

鎌倉で、海っぽい雑貨も和テイストグッズも置かずに勝負するセレクトショップの話

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2015年7月6日に取材した鎌倉の古着や小物のショップ「GOOD SMILE」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。

取材文のサンプルとして御覧下さい。

「GOOD SMILE」は小さな店だ。人によっては、お隣のハワイアンの店「KANALOA」の一部だと思って、見逃してしまうかもしれない。しかし店内に足を踏み入れてみれば、70年代のアメリカ西海岸カルチャーやハワイアンカルチャーをごっそり詰め込んだような空間に、ぐっときてしまうこと請け合いである。筆者は渋カジ全盛時代をリアルタイムに体験している世代だが、渋カジに色濃く反映していた70年代西海岸のテイストと、その源流である古き良きアメリカのテイストとが二重写しになって感じられ、二重の意味で懐かしさを感じた。

「サーフィン、音楽、洋服という自分の興味あるものをトータルに表現したらこうなったんです」と店長の高橋さん。

 1959年生まれの高橋さんは、1976年に創刊した雑誌「ポパイ」がもたらしたアメカジブームに居合わせている。その体験がお店に反映されているという。

「アメリカのインポートものがなかった時代に、原宿の『ビームス(1976年オープン)』に行ったんです。狭い店(註:6.5 坪しかなかった)でしたが、見たことのないものばかり置いてありました。スケボーを買って帰りましたね。高校生の頃です」

『ポパイ』創刊とほとんど同じタイミングで、つぎつぎとアメカジ専門のショップがオープンした時期だった。アメ横の「ミウラ」、道玄坂の「ミウラ&サンズ」、そして上記の「ビームス」。どの店も狭く、ごちゃごちゃした輸入物のセレクトショップだった。「GOOD SMILE」の狭さや品揃えも、そうした70年代のアメカジブームを牽引した店を意識しているのだそうだ。

 取り扱っている商品は買い付けたものが30パーセント、残り70パーセントはリメイクした古着とオリジナルブランド「サンセット1970」のアイテムだ。

「好きなものじゃないけど、これを並べたら売れるだろうな、という風にはしたくないんですよ。あくまでも自分達が着たい服を置きたいですね」

 好きなものを集めて、それが商売になったら理想的だ。この店は高橋さんの理想を形にした夢の宮殿なのだ。

 鎌倉という土地柄、観光客も立ち寄ることがある。一般ウケするようなカフェやロハスなセレクトをしているショップではないが、立ち寄る人は立ち寄ってくれる。しかし海っぽい雑貨や鎌倉らしい和テイストの小物を揃えている訳ではない。あくまでもローカル向けのお店なのだ。

「逗子、葉山、大船、鎌倉。地元のお客さんが8割ですね。地元のお客さんは鎌倉グッズは買いませんから、その手の商品は置きません。

 売れ筋は古着をリメイクした一点ものです。自分が着ているものを人が着ていたら嫌ですよね? 商圏が狭いので、人と被るのを嫌がる人が多いんですよ。常連さんはうちの商品を見てそれと分かるらしくて『「GOOD SMILE」で買ったんでしょ』と話しかけられることもあるようです。『わたしは買わなかったけど、あの服、友人の誰々さんだったら似合うだろうな、と思っていたら実際にその人が買っていた』なんていうことが起こるくらい狭い商圏で回っています」。

 インポート商品に関してもこだわりがあり、高橋さんは商品の背後にあるストーリーを丁寧に説明してくれる。雑貨店で買い物する楽しみは、商品を仲立ちにして店主のウンチク話が楽しめることだ。この店には深い会話を誘発してくれる興味深い雑貨が揃っている。

 今後はウェブサイトに力を入れていきたいという。しかしそれはウェブでの販売を強化したいという意味ではなく、あくまでもウェブを入口にして実店舗に足を運ぶきっかけづくりにしてもらいたい、という心づもりだ。「実際に店に来てみたら、こんなに小さかったのか」となったら、狙い通りである。

「店を広げるつもりはないんですよ。オリジナルブランドのトランクスを他所に卸したりすることはあるかも知れませんが。やっていきたいのはイベント的な展示即売会。音楽やアートとコラボして鎌倉から発信していきたいですね」

「やりたいことはたくさんあって時間が足りない位です」という高橋さん。

 実はカモク・タカハシの名でハワイ独特のギター奏法であるスラッキーギター(スラック・キー・ギター)のミュージシャンとしても活躍しているのだ。既にアルバムも5枚リリースしているという。


KaMoku Takahashi | Blue Slack Key

 

 何を隠そう店の方も、お隣のハワイアンの店「KANALOA」のオーナーが大家さんだ。とはいえ高橋さんの好きなハワイは「アメリカ人が避暑で訪れるハワイ」。アメリカの古い文化やひなびたビーチの雰囲気が漂ってくるようなハワイだ。メキシコやキューバにも関心を寄せているそうで、民間信仰グアダルーペのマリア様の小物も置かれている(ちなみに取材時の BGM はライ・クーダーキューバの伝説的ギタリスト、マヌエル・ガルンバの共演作だった)。

 店主の個性がダイレクトに反映された「GOOD SMILE」。ローカルピープル御用達の古着屋兼雑貨屋さんは一見の価値ありである。

GOOD SMILE(グッド・スマイル)
店長:高橋幸信(たかはしゆきのぶ)
神奈川県鎌倉市大町1-2-15 カナロアB
http://www.goodsmile2525.com/

www.goodsmile2525.com