メケメケ

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町工場や倉庫がひしめく運河のほとりから、セカイに向けて書き綴るブログ。

代官山のエアポケットに佇む雑貨店の話

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photo taken from "Polish Pottery Australia" : http://www.polishpotteryaustralia.com.au/

2015年7月1日に取材した恵比寿の「pupi et mimi(プピエミミ)」の紹介文です。
お蔵入りしていたものを蔵出しいたします。
取材文のサンプルとして御覧下さい。
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代官山には雑貨や洋服の路面店が多い。買い物客は小さな店をハシゴしながらショッピングを楽しむ。多くの人が行き交う代官山駅入口交差点から少し奥に歩くと、隠れた小路や路地裏が散見される。自動車の入れない路地に紛れ込むようにして、今風の美容院が並ぶ。角をいくつか曲がると、自分がどこにいるのか分からなくなってくる。その先にぽっかり開けた一角が現れた。

白い玉石敷きの路面とレンガ積みしたような意匠の白い壁。にょっきり生えた木と吹きさらしに置かれたベンチがアクセントだ。言うなれば都会のエアポケット。なんとも魅惑的なファサードである。

「テレビのロケ地として使われたり、中目黒から代官山にかけての散歩の本でイメージカットとして掲載されたりしているんですよ」。雑貨店「pupi et mimi」の店長、平山未央さんは言う。

店に看板はなく、コーヒーポットや傘のついた裸電球の壁画が意味ありげに描かれているだけだ。しかもモノクロである。この素っ気なさが素敵だ。

店内に入ると天井から足下まで小物がびっしりだ。壁掛け時計のような比較的大きなものから手提げ袋、アクセサリー、古い生地をリメイクしたガマ口、キッチンウェア、チェブラーシカの人形など主張の強い小物類が仲良く整列している。

商品の仕入元は様々だが、ひとつのコンセプトに沿って選んだ品ばかりだ。

「パリが好きで、パリジェンヌのアパルトマンをイメージして店づくりしています。うちで扱っている商品はロシアやポーランドなどフランス以外の商品もミックスしていますが、そもそもパリの町自体、色々な国の文化を受け入れて出来ているんです。それでもなおパリはパリらしい。そこを目指しています」

 定期的に渡仏しパリで買い付けできればそれに越したことはないのだが、店を構えているとなかなかそうはいかない。そこでファッション・ジャーナリストでぬいぐるみコレクターでもある清水友顕さん(『パリのヴィンテージファッション散歩〜ファッショニスタによるとっておきパリガイド』『パリ蚤の市散歩〜とっておきガイド&リメイク・リペア術』の著者)がセレクトした蚤の市のかわいいモノたちを、年2回「パリ蚤の市」展と題して大々的に販売している。取り扱う物量は、平常営業時の1.5倍にもなるというから、力の入れようが分かる。当然店内には並べきれないので、商品を入れ替えた上で露天のように店の前に陳列して販売する。完全にお祭りである。初日には恒例となったオープニングレセプションで気分を盛り上げる。

「イベント時の売上は圧倒的ですね。普段は在庫さえあればネット販売の方が店売りよりも調子が良いくらいなのですが、清水さん自身のファンのお陰もあって『蚤の市』はいつも盛況です」

恒例のイベントは他にもある。取扱い作家たちの作品を前面に押し出した「周年記念イベント」と「クリスマスイベント」だ。路地の奥まった場所にあるため意識的に珍しいモノを取り扱うようにした結果、個性的な作家さんとの付き合いが増えた。現在取引のある作家さんは15人以上いるという。

「初期の段階から販売しているのは”micro dahlia factory”、”*cotolie yuka”、”POLICO”の3ブランドですね。私の前職はバッグのデザイナーなのですが、前のお二人の作家さんはその時の同僚の紹介で知り合いました」。

創業は2008年。分かりづらい場所にあるため、最初の半年間は手作りのチラシを毎日100枚配るなどの苦労もあった。しかしパリの裏道も秘密めいていて、旅人を迷宮に誘う。勇気を出して奥へ進んでいくと、素敵なお店や珍しい発見がある。その感じは捨てがたかった。

オープンして1年経った頃、ポーランド製の陶器の売り込みがあった。アイボリーと紺の組み合わせで手書きの暖かみがあり、飽きが来ない。日本のインテリアとも合う。この陶器は好評で「pupi et mimi」の経営は軌道に乗りだした。

広告宣伝には極力予算はかけずにやって来たが、旅行雑誌などに度々取り上げられた結果、地方からもこの店を目指したお客さんが訪ねてくるようになった。

「自信になりました。こんな場所だからこそ、逆に良かったのだと思います」と平山さん。

お客さんは特定の商品を目指して来店するケースが比較的多いものの、店内を何周も廻りながら隅々まで商品を見ていく人や、1、2時間滞在する人もいるという。

確かに「pupi et mimi」には、それに値するだけの見所が多い。カウンターの壁紙はパリで手間をかけて探してきた雰囲気のあるものだ。「お取り置きコーナー」と化している流しは実はお手製で、シンクの部分のタイルは平山さんのお眼鏡に過なったもの。台は自作だ。カラフルな商品を引き立てるため店内の壁は白で統一しているが、スピーカーまで白で揃えるという凝りようだ。

「私自身が雑貨好きで、小学生の頃から将来は雑貨屋さんになりたいと夢見ていました。いまでも他所の店を覗いたり、雑貨の展示会に足を運んでいます。日々勉強ですね」

店名の直訳は「プピとミミ」だが、夫婦で経営していることから二つの名前を組み合わせたオリジナルなネーミングにしたという。二人で経営しているため、現状のまま手を広げたりせず細く長くつづけていきたい、という平山さん。街並みに溶け込んだこんな素敵な場所は代官山ならではだ。

pupi et mimi(プピエミミ)
店長:平山未央(ヒラヤマ ミオ)
住所:〒150-0033  東京都渋谷区猿楽町13-5代官山ステラハウス1-A
URL:http://www.pupietmimi.com

2017年5月23日、タイトルを変更しました。